“香織”に関して「役に通じるものを感じました」という倉科。「見た方は誰しも香織ちゃんに少しは共感するところがあると思います。切り離すことのできない自分自身のやっかいさはよく分かります。今は私もコントロールできますけど、香織ちゃんを演じてみて昔の自分を見てるような気がしました」と過去に闇を抱えていた時期があったと話す。
すると、共演した篠原は「倉科カナさんっていうと天真らんまんな印象があったので、香織という闇を抱えた役と結びつかなくて『どうなるんだろう?』って思ってたんですけど、顔合わせでお会いしたら、『あ、この人、闇あるかも』って思いました(笑)。本当に美しいんですけど、女としての痛みというか、笑顔で乗り越えてきた何かがあるんじゃないかなって思ったんです」と、その闇の部分を初対面で察知したと語った。
クライマックスの10分におよぶ土砂降りの中の長回しシーン。本当は晴れの設定がゲリラ豪雨に遭ってしまうが、倉科が「やっちゃえばいいんじゃないですか? 雨、いいじゃないですか」と提案して撮影が決行したという。「今回の作品って、全てが力になるような作品だったんです。天気もそうですし、緑の青さも全てが力になる。だから雨も味方してくれるんじゃないかなって思ったんです」とその理由を明かした。
その言葉を受けて、篠原も「私もそう感じました。全部が味方してくれるような感じで、変な解釈になるかもしれないですけど、コロナ禍の中でみんなが不安を感じていますけど、不安や孤独も作品にプラスになるんじゃないかなって思っていたんです」と、倉科の考えに共感した。
最後に、倉科は「この作品を通して感じたのは、生きることってとても苦しいし、ままならないことがたくさんあるなって。泥臭く生きるしかないんだなって思いました。でも、苦しい人生の中でも、ひと匙のハチミツのように、小さいかもしれないけど希望もしっかりとあるんだなって。その小さな希望を見つけて生きていくことがすごく大事だと思いましたので、この作品をたくさんの方に見ていただいて、身近な小さな希望を見つけていただけたらうれしいなと思います」というポジティブなメッセージで締めくくった。
映画「女たち」は6月1日(火)よりTOHOシネマズ シャンテ他全国公開。
◆取材・文・撮影=田中隆信
6月1日(火)TOHO シネマズ シャンテ他全国公開
配給:シネメディア、チームオクヤマ
コピーライト:(C)「女たち」製作委員会