――最初に脚本を読んだ感想は?
「これは、面白いぞ!」と思いましたけど、どうやって映像化するのか気になりました。SFものって、見た時にうそっぽかったり、どこかハマっていないなと感じる作品があったりするんです。でも、完成したものを見たら面白くて。
自分が出ている作品はなかなか楽しむことができないんですけど、私が出ているところ以外は客観的に見てすごくよかったです。
――白石鈴は、なかなかの悪女キャラですよね。
台本読んだ時から、どうやって世間に嫌われようかなって(笑)。私が嫌われないと、他のキャラクターが引き立たないので、やりがいしか感じなかったです。
――演じる上で迷いはなかったんですか?
悪に振り切ったら結構楽なんです。どちらかというと、宗一郎に対して優しい鈴の時の方が難しかったです。
――「優しい鈴」と「悪女の鈴」を演じ分けるために工夫した点は?
そのギャップをどう表現すればいいのか。表情やしぐさ1つで全部意味合いが変わってくるんです。1人の人間としてナチュラルに成り立つようにしないといけないので、ここまでは優しくていいのかなとか、ここからは思いっきり悪女になった方が面白いかもって、ギリギリのラインを三木(孝浩)監督と探りながら作っていきました。三木監督には感謝の気持ちしかありません。
――役作りをする過程で、裏設定を考えたりしたことは?
鈴は金の亡者という感じの女性なんです。勝手に自分で作った裏設定としては、家庭環境が複雑だということ。お金にとても執着があって、宗一郎のことを手玉に取っているけど、実は彼の心も欲しかったのかなと。だからこそ、璃子(清原)ちゃんのことを大切にしている宗一郎に腹を立てていたのかもしれない。そんなことを考えながら演じていました。
――夏菜さんの中に、鈴のような“悪女”の部分はありますか?
そんなのないですよ(笑)。ただ、裏設定として考えた嫉妬心みたいなものは私にもちゃんとあります。そこだけは、ちょっとだけ夏菜の力も借りて演じました。
私はどちらかというと、真っすぐぶつかって砕け散っていくタイプ。性格的には璃子ちゃんに近いかもしれません。だからこそ、鈴を演じていて面白かったですし、見ている人が嫌悪感を抱くようなこの芝居がその後の展開に響いてくるのかなと計算しながら演じていくのが楽しかったです。
――劇中では、宗一郎役の山崎さん、松下和人役の眞島秀和さんとのシーンが多いですが、お二人の印象は?
山崎くんは、お芝居になると人が変わるタイプなのかなと。普段は普通の少年っぽいけど、精悍な青年にもなれるし、ピュアで幼い感じにもなれる。つかみどころがないイメージですね。
眞島さんは何度かご一緒していて、オンとオフがあまりない方という印象。私と同じタイプなのかなと思っています。
――鈴の衣装には、どこか懐かしさを覚えましたが…。
物語の舞台が1995年という設定だったので、その当時はやっていたアムロちゃん(安室奈美恵)を意識してスタイリストさんがいくつか準備してくださったんです。その中で最初に着たものがズバッとハマって。鈴が登場する時の衣装がそれです。
あの黄色い感じのジャケットもかわいかったんですけど、個人的には株主総会の時に着ていたスーツも好き。ちょっとフレアだったり、襟が大きかったりして。ミニスカートにロングブーツというスタイルも当時のファッションですよね。
6月25日(金)公開
<キャスト>
山﨑賢人
清原果耶、夏菜、眞島秀和、浜野謙太
田口トモロヲ、高梨臨、原田泰造
藤木直人
<スタッフ>
監督:三木孝浩 脚本:菅野友恵 音楽:林ゆうき
主題歌:LiSA「サプライズ」(SACRA MUSIC)
原作:「夏への扉」ロバート・A・ハインライン(著)/福島正実(訳)(ハヤカワ文庫刊)
製作幹事:アニプレックス 東宝 制作プロダクション:CREDEUS
配給:東宝 アニプレックス(C)2021 映画「夏への扉」製作委員会
【公式HP】https://natsu-eno-tobira.com/