佐藤健主演「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」の表現の違いを撮影監督が掘り下げる
一方、「The Beginning」では思い悩む剣心や巴との恋愛要素も踏まえて“紫”をキーカラーに設定。映像に違和感を与えないように、ライトや映像での色付けでなく、巴の衣装にある紫を印象的に捉えたり、雪の白との対比から紫を感じ取れるようにすることで、実写映画のオリジナリティーを出していった。
また、ウエスタン(西部劇)が時代劇に影響を与え、そして時代劇が逆に西部劇に影響を与えることにもなったという歴史と、その西部劇を見て育った石坂は1作目のとき、例えば斎藤一が登場するところでは砂埃が巻き上がるなど、乾いた荒野のウエスタン調を意識して撮影。
1作目でできなかったことを2作目、3作目で、と実践し続け、4作目の「The Final」では、色の濃度をさらに深めるようにしていった。
そして撮影スタイルも「『The Beginning』は過去が舞台で、僕がやってみたかったスタイルの時代劇をやれる、と思いました。『The Final』まではカメラを動かすことが多く、ガンガン動かして撮っていました。『The Beginning』ではあまりフレームを動かさずに、色味を落としました。これは初めてのことでした」と、シリーズの歴史の中でも新たな試みに挑戦したと言い、この飽くなき挑戦心が「るろうに剣心」シリーズを大きくさせてきたことがうかがえる。
「るろうに剣心」の現場を振り返り、「スタッフ、キャスト、全員セーブしない現場です。監督がよくおっしゃいますが、“みんな、勝手にやり過ぎてしまう”んです。そんなみんなの仕事ぶりを知っているので、僕ら撮影部も、映像の仕上げの段階で一切手は抜けなくなる。これは、素晴らしい相乗効果だと思いますね」と、自分たちが良いと思ったものはどんどん挑戦できる環境だったからこそ、スタッフ同士でも互いに切磋琢磨(せっさたくま)できたと、大友組の魅力を語る石坂。
最終章2部作ではキーカラーとなる“オレンジ”と“紫”、極上の映像美で全く異なる2つの時代の背景や、その時代に生きるキャラクターの心情を見事に捉えたカメラワークが見られる。
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【HP】wwws.warnerbros.co.jp/rurouni-kenshin2020/