さまざまな人との出会いで世界が広がった
「ここまで話をしてきて分かったと思うんですけど、僕、元々は行列店とか予約が取れないような名店はずっと避けていたんですよ」という髙嶋。店にパッと行って食べられない、ということの意味が分からなかったのだそう。
「なので、いま言ったようなお店はもちろん、気に入ったお店を見つけたら、とにかくその店ばかり。メニューにないものが出るまでとことん行き続けて、中華料理のお店なんて、僕が何も言っていないのに、お店の方が、にんにくと青唐辛子をカウンター越しに乗っけてくる、みたいな(笑)。そこまで通うタイプだったんですよ」
いわば“博愛”とも言える食べ歩きとは対極の“偏愛”主義者を貫いていた。そんな髙嶋の世界が変わったのは、いろんな人との出会いがきっかけだという。
「ラーメンの鬼・佐野実さんとの出会いは大きかったですね。佐野さんが亡くなられた今でも奥さんのしおりさんや『チーム佐野JAPAN』の人たちと仲良くて一緒に食べ歩きもしますけど、当時からいい思いをさせてもらいましたね。おかげさまで、ラーメンはずいぶんと食べてきました。何なら、かんすいの本まで持っていますから。ラーメン作らないのに(笑)」
グルメドキュメンタリーに出演するようになってからは、さらに出会いも増えた。
「構成作家やプロデューサーの方が、いろんな名店の予約を持っているんですよ! そうすると、自分で予約をしていないのに、そこに行けちゃう、という(笑)。『パレ・ド・Z~』の担当作家である塩沢航さんには本当に世界を拡げて頂きましたし、超名店との出会いが一気に増えました」
そこから現在の髙嶋が形成されていくわけで、まさに“運命の出会い”と言っても過言ではないだろう。そんな出会いは、もちろん役者人生でもときどき訪れるという。
「今回の舞台『醉いどれ天使』はそう言えると思います。まず演出を手がける三池崇史監督。僕がすごく出たいと思っていた監督で、さらに僕が映画界で神と崇拝している黒澤明監督と三船敏郎さん、そのゴールデンコンビの原点となった作品でもあるんです。『用心棒』や『椿三十郎』から始まって、『七人の侍』を見て、そこから遡ったときに見て衝撃を受けた『醉いどれ天使』の舞台化。お話しが来たときは、もう、震えましたね。これは関われるなら、どんな役でもやる!と思いました」
第2回の料理テーマは「肉の本質を伝える」。配信は8月27日(金)に予定しております。
取材・文=四戸咲子
たかしま・まさひろ=1965年10月29日生まれ、東京都出身。B型。
1987年に映画「トットチャンネル」で俳優デビュー。以降映画やテレビドラマ、舞台等で幅広く活躍。
2018年には、自身について赤裸々につづったエッセイ「変態紳士」を発売し、話題に。
出演舞台「醉いどれ天使」の開演を9月3日(金)に控える。
舞台「醉いどれ天使」
9月3日(金)~21日(火) 東京・明治座
10月1日(金)~11日(月) 大阪・新歌舞伎座
原作=黒澤明、植草圭之助/脚本=蓬莱竜太/演出=三池崇史
出演=桐谷健太 高橋克典 佐々木希 田畑智子 篠田麻里子 髙嶋政宏 ほか
公式HP: https://www.yoidoretenshi.jp/
<取材協力>
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