深夜ラジオリスナーの共通言語となった「イズム」&「ロッキー」発言
その後、「イズム」と同様に、この「ロッキーの撮影じゃないのよ」は「くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン」で現在に至るまでいじられ続け、深夜ラジオリスナーの共通言語となった。SNSで検索してみると、リスナーへの浸透ぶりがよくわかる。テレビ番組で、上田の背後に数人のアイドルがいるだけで、「ロッキーの撮影じゃないのよ」とリスナーはツッコんでいて、最終的にはニュースやアニメ、ドラマなどで誰かを複数の人間が追いかける場面があるたびに、どこかでリスナーが「ロッキーの撮影じゃないのよ」とたとえツッコミを入れているような状況になった。ちなみに、2010年10月には「おしゃれイズム」にシルベスタ・スタローン本人が出演しているが、上田はさすがにブッコミをしなかった。
驚くべきは、「イズム」も「ロッキーの撮影じゃないのよ」も10年以上前の発言にもかかわらず、いまだにリスナーに愛され、使用されていること。「おしゃれイズム」という番組は幕を下ろしたが、この番組から生まれた名言は、今後も「くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン」でいじられ続けるだろう。
純粋に毎週トーク番組として見てきた視聴者とは違うから、本質的にはだいぶズレているかもしれない。番組制作陣やMCたちの意図とはきっと違うだろう。それでも、ラジオリスナーたちはこの2つの発言を思い出すたびにニヤニヤし続け、今後何十年も「おしゃれイズム」の存在を忘れないことだろう。
文=村上謙三久