歌った当時の私の心境とリンクしているところがあった
レコーディングに臨む姿勢は変わらずも、求められるものは違っている。彼女がこれまでに歌ってきたエンディングでは、登場人物の心の奥深くを描いたバラードが多かったが、本作は、“言いわけレベル:15,000,000,000”や“勇者スキル”など、アニメ主題歌らしい単語が並ぶ、疾走感あふれるロックチューンとなっている。
「遊び心に溢れた歌詞になってるんですけど、歌った当時の私の心境とリンクしているところがあって。特に“何が大切か見極めて進め”というフレーズ。コロナ禍になって、それまでは当たり前だと思っていた常識が一気に崩れていったし、自分と価値観が合う人をより大事にしていきたいなと思うようになった。この歌詞を見た時に、今の自分が考えていることと重なると思ったし、この強い曲調と進化というパワーワードで、誰かの背中を押すような曲にもなりそうだなと。曲調が強いだけじゃなくて、誰かにとってのエールになるという意味でも、アニメのオープニングらしいなと感じたし、アニメ本編と同じく、歌詞にも“ワンパンチ”“摩訶不思議”といったパロディ要素が入っていて。ちゃんと『進化の実〜』のオープニングテーマを歌ってるんだなっていう実感がありましたね」
一度、見失ってしまった自分の軸を再認識したい
恐れや迷いを捨てて、新しい扉を開く呪文“EVOLUTION”=“進化”というフレーズをパワフルにエネルギッシュに歌う彼女。プライベートでは何か“進化”したことはあるのだろうか。
「いや、退化してますね。コロナ禍に入って、”何もしないをする”生活を送ってたので(笑)。ただ、変化はしてるなと思います。否が応でも自分が何を大事にしたいかを見つめ直す時間があって…。振り返ってみると、20代後半は自分にとって忙しい時期が続いていました。ところてんが押し出されるようにお仕事をしていたし、自分の生活を犠牲にして、自分を押し殺して仕事をしていたんですね。その結果、何が手元にあるんだろうなと思ったら、個人の南條愛乃の生活には何も残ってなかったんです。もちろん、いろんな経験はさせてもらったんですけど、だからと言って、仕事しかない生活は虚しいなと感じて…。だから、30代に入ってからは、自分個人も大事にしようと思ったし、自分のペースを壊してまで、自分を見失いながら仕事をするのはやめよう!と思って。今後また、がむしゃらに仕事がしたいという時期が来るかもしれないけど、今は自分がちゃんと見えてる、認識できる状態で仕事をしたい。そのことに気づけたのは、大きな変化だなと思いますね」
社会の常識や他人の評価に惑わされることなく、自分の内心の声を聞き、本来の自分を取り戻すこと。それが、ソロデビュー10周年を前に彼女がやるべき最優先事項なのだろう。
「私は今、何もしないをしているんですけど(笑)、自分はこんなに穏やかだったんだなって感じてて。この仕事をする前は、おっとりしてたはずなんですよね。原点回帰というか、ちょっとずつ自分の呼吸のペースを少し思い出せるようになってきた。20代は忙しく、大きな仕事など、ありがたい経験もできたけど、どこかで自分とはかけ離れていったし、いまだに微妙に引きずっているところがあって…。その辺を自分の中でうまいこと折り合いをつけて、整理していきたい。一度、見失ってしまった自分の軸を再認識したいし、自分らしさを理解した上で仕事していきたいですね」
https://nbcuni-music.com/yoshino_nanjo/
●南條愛乃 公式Twitter
https://twitter.com/nanjolno
●南條愛乃 公式Instagram
https://www.instagram.com/nanjolno/