「小学生の時の工作みたいなワクワク感」
――柿本ケンサク監督の現場はどうでしたか？
林：柿本監督は今作のような長編映画が初めてということで、毎日現場でみんなとコミュニケーションを取りながら撮影されていました。
小松：柿本監督が私たちに「この規模の長編映画は初めてなんだけど、どうやって撮っていくの？ 教えてください」とおっしゃっていたのが、すごく印象に残っています。いろいろな経験をされている大人の方が、真っ直ぐな目で「教えてください」と素直に言えることが、すごいなと思ったのと同時に、「私たちも監督がやりたいことには全部協力したい。この人についていけば大丈夫」みたいな一体感がそこで生まれた気がします。その監督の言葉で、みんながすごく朗らかになって、ものづくりを一からやっていく、小学生の時の工作みたいなワクワク感が湧いてきました。
林：うん、そうだったね。
小松：監督は実際に映画を経験しているメークさんやスタイリストさんをはじめ本当にいろんな人の意見を聞いたりしていました。顔に目のおもちゃを貼ってみたり、顔を黒く塗ってみたり、監督はいろいろと試されていて、「あ、やっぱり違ったかも」ってまた一からやり直したりされていて、「みんなで作るってこういうことだよね」と感じました。いつもフレッシュで和気藹々とした楽しい現場でした。
林：柿本監督とずっと一緒にクリエイティブなことをされてきた方たちも集まっていたので、カメラマンさんが海外の方だったりと新鮮でした。この作品自体にファンタジー要素があるのもあって、柿本監督方の発想が脚本を飛び越えてくるものばかりで、撮影中は驚きっぱなしでしたね。マスクをはじめ衣装やセット一つとっても、センスとこだわりが常に光っていて…。
小松：新しいものが生まれた感じでしたよね。撮影では日待ちとかもありましたが、全然苦でもないし、みんなで楽しく自転車に乗ったり話したり記念撮影をしたりと、何か不思議な現場でした。それが柿本監督の現場の良さでもあります。柿本監督ご自身も、すごく楽しそうに作られていて。最後に「この経験があってよかった。また映画を作りたくなった」と笑顔で話されていて、私は「そう思ってもらえてよかったな」「もっと柿本監督の作品をいっぱい見たいな」「また同じチームで何か楽しいことをやりたいな」と思いました。
林：僕は出来上がった作品を見たときに、「柿本監督を信じてやりきれてよかった」と心から思えたんです。というのも、僕たちが心を込めて作り上げた人物をいろんな新しい発想でレタッチしてくださって、高坂と佐薙の2人だけの時間が、映像の力によって、より愛おしく見えたというか。映画の中で、すごく感動させられる演出が、たくさんありました。
11月12日(金)公開
出演：林遣都 小松菜奈
井浦新 石橋凌
監督：柿本ケンサク
脚本：山室有紀子
原案：三秋縋「恋する寄生虫」(メディアワークス文庫／KADOKAWA刊)
主題歌：Awich「Parasite in Love」(ユニバーサル ミュージック)
配給：KADOKAWA
公式サイト：koi-kiseichu.jp/
(C)2021「恋する寄生虫」製作委員会
