城田優、『カムカムエヴリバディ』では英語を織り交ぜたナレーションを担当も「独学で学んだ言語で、ネイティブではないんです」
城田優 インタビュー
――今回「カムカムエヴリバディ」に出演することが決まったときのお気持ちは?
シンプルに光栄の一言に尽きます。以前「純と愛」に出演させていただきましたが、役者として出演するのとはまた違いますね。正直に言えば、今回のオファーのほうがうれしいかもしれません。というのもナレーションは、物語の世界観を作るのに一番重要なパートで、その物語の核となる部分を僕に任せていただけるのが本当に光栄なことだからです。しかも物語の第1話から最終話まで全編を通して登場します。今回はヒロイン三世代にわたる物語なのでおそらく出番が一番多いのは僕です。これはもう第4のヒロインと言ってもいいのではないでしょうか(笑)。
――語りで難しいこと、意識していることは?
今回は英語と日本語を織り交ぜたナレーションです。僕はスペイン人と日本人のハーフなのでスペイン語の発音なら直されることはないのですが、英語は10代から興味を持って独学で学んだ言語で決してネイティブというわけではないんです。ヒロインの安子と同じですね。シンプルに英語に触れて興味をもって学び始めて多少日常会話が話せる程度です。英語の発音は本当に難しいのでそこは一番頑張っています。新しい台本を頂いて、英語のナレーションがあるといまだに「わ! 英語がある!」ってなりますね(笑)。
物語のテーマのひとつがラジオ英語講座ですが、ナレーションも英語講座のイメージでやらせていただいています。流暢に抑揚をつけた、完成させた語りというよりは、やはり日本語で言った後にわざわざ同じことを英語で置き換えて言うということに意味があるのではと思っています。ラジオ英語講座は、ラジオで英語を教えることがメインのプログラムですよね。なのでナレーションもその英語の教材の一部であるということを大切にしています。お子様からご年配の方まで“朝ドラ”をご覧になる幅広い層の中には初めて英語に触れる方もいらっしゃるかもしれない。全ての方々に向けてしっかりと耳を傾けていただけるように、語り部として物語を届けていきたいと思っています。
――台本を読んだ感想は?
3世代の物語というのは珍しいですよね。物語も3分割されている分、その一人ひとりの人生が濃く、序盤から展開がとても早いです。まるで植物が太陽の光と雨でどんどん枝を広げ、花を咲かせ実が大きくなるように、人もどんどん成長し濃くなっていく。そして枯れていくものもあればより咲いていく花があり、そして次の世代に受け継がれていく。今回のタイトルにもなっているように英語がすごく意味を持っていて、かつそこでつながっていく。一見たいしたことないと思っていた人と人とのつながりが、のちに深いつながりになっていったり。偶然だったり奇跡的だったりする、ささいな出来事が自分の人生を変えてしまったり…そんなことがたくさん散りばめられていてドラマティックな物語です。
――ヒロインについての印象はいかがですか? また印象に残るシーンはありますか?
上白石萌音ちゃんが演じる安子が本当にすばらしいんです。何度も泣かされましたね。彼女が笑っているとこちらも幸せになるし、彼女が悔しそうにしていると「がんばれっ!」と応援したくなります。ドラマを見る人たちにとってなによりも必要なことは、共感することだと僕は思っていますが、安子という女の子は、視聴者の皆さんを置いて行かずに、みんなと同じラインに立っているような気がします。自分の愛する人が守りたかったものや自分の愛する人が好きだったものを心から大切にすることができる人で、自分の家族と好きな人の家族、そのどちらも平等に愛せる懐の深いヒロインです。
――視聴者の皆さんへメッセージをお願いいたします。
この物語の中には希望を持って未来を信じ、前に進んでいく人物たちがたくさん登場します。安子は英単語を毎日ひとつ覚えるごとに、戦地に行った稔に会える日が近づくと信じていました。残念なことにその希望は叶わなかったですが、信じるということが人生ではなによりも大切なんです。いま薄暗い闇の中にいて前に進むエネルギーが必要な方々に、少しでも栄養となるようなものを毎日15分間見ていただくことで蓄えてもらえればと願っています。