「地上波レギュラー減ってる今だからこそ、あてみなげを大事にせな」
しかし、霜降り明星というコンビを取り巻く状況はこの3年で大きく変わった。
2019〜20年はM-1優勝からお笑い第七世代ブーム。台頭する若手の象徴的存在として冠番組やメインMCを務める番組が大幅に増加。粗品のピンネタ・ギャンブル癖・音楽活動、せいやの物真似等、ソロでのキャラ立ちも相まって、彼らの姿をテレビで見ない日はなかった。いやテレビだけでなく、ラジオ・YoutTube等でも人気を博し「時代の寵児」と言っても過言ではない活躍ぶりであった。
しかし、長い芸能人生活。さすがに全力疾走はいつまでも続けられない。20年度後半以後は第七世代ブームが一段落したこともあり、徐々に霜降り明星の冠番組・MC番組は減少。「第7キングダム」「お笑いG7サミット」「爆笑問題＆霜降り明星のシンパイ賞!!」と終了が相次ぎ、直近も「オトラクション」の年度内終了が発表された。また終了こそしていないものの「霜降りバラエティ」も火曜深夜0時台から土曜深夜3時台になるなど、勢いは弱まってきている。
そこで冒頭の粗品の台詞「地上波レギュラー減ってる今だからこそ、あてみなげを大事にせな」につながっていくわけだ。
キャリア初期から続いているローカル番組というのは、芸人にとっていわば「糟糠の妻」のような存在なのかもしれない。
よく知られるように、千鳥が東京進出したもののなかなかうまくいかず、もがいていた頃、手を差し伸べたのはテレビ埼玉の「いろはに千鳥」だった。現在東京キー局に冠番組を多数抱える千鳥だが、東京進出後の原点として「いろはに千鳥」をまだ続けている。
霜降り明星としてもおそらく「まだ何者でもなかった時代」から声をかけてくれた静岡には特別な思いを持っているだろう。
おりしも21年末には「あてみなげ」で長い間コンビを組む宮崎玲衣アナウンサーが結婚。続けて粗品も結婚発表と、おめでたいことが相次いでいる。
番組開始から丸3年近く経過し、三立製菓広報かにぱんお姉さんや、せいやの高校時代の同級生やっさんなどの名物キャラ、せいやの天敵・徳丸カメラマンや夜はキャバ嬢のADなど、特色あるスタッフにも恵まれ、歴史は積み上がっている。
ひと頃に比べれば東京キー局のレギュラーが減ったとはいえ、まだまだ霜降り明星は売れっ子だ。冠番組・メインMC番組もまだまだ残っているし「新しいカギ」など新たに始まった彼ら世代が主役の番組もある。ラジオも「オールナイトニッポン0(zero)」から「オールナイトニッポン」に昇格して絶好調。まだまだ若手の代表として活躍は続くだろう。
しかし、そんな中でも冠番組を目指しネットテレビで頑張り、県内での知名度100%を目指して番組をスタートした静岡での日々は彼らにとって原点のはずだ。
もしも彼らに今後本当に苦しい局面が来たとしたら、その時そっと手を差し伸べるのは、きっと糟糠の妻なんじゃないかな。やっぱり大切にせな。
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