31歳までの半年間で「やりたいことがたくさんある」
――今年は芸能界デビュー10周年という節目の年でもありますが、今までを振り返ってみていかがですか?
もう10年になるんですね…本当にあっという間でした。いろんな先輩方から「まず3年で結果を出して、そこから10年生き延びろ」と言われていたんです。皆さんのおかげでなんとか10年たちました。
――30歳になった2021年はアニメ声優に初挑戦したり、農業を本格的に始めたりと濃い1年だったのではないでしょうか?
そうですね、濃い1年でした。31歳になるまで残り6カ月ほどありますが、この時間で何ができるかというのはずっと考えています。まだまだやりたいことがたくさんあるので、実現させたいですね。それがかなえられたら、30歳は良しとしようと思っています。
――新たな挑戦に対してすごく前向きな印象があるのですが、恐怖心はないのですか?
もちろん怖いですよ。たしかに見えないことは不安ですけど、安心できる場所にい続けても面白くないので。
――挑戦への恐怖心が勝って“安心できる場所”にい続けてしまう人も多いかもしれませんね。
それも全然いいと思うんです。僕は石橋をたたかずに渡ってしまうことが多いので、進んでみてから「失敗だった!」ということがよくあります。慎重に石橋をたたきながら進むことができると捉えれば、それもすてきなことなんじゃないかなと。
日本文化の一つである時代劇を「大事にしていきたい」
――10年後は40歳、芸歴20年となりますが、それまでになっていたい姿や演じてみたい役はありますか?
10年後のイメージはなんとなくしています。そして、そこに至るまでに3年後、5年後の自分がどうありたいかということも考えています。
そんな中で時代劇の主演をやらせてもらえたということは僕にとって、すごく大きなことでした。今回、小五郎という役に出会えたことをうれしく思います。
――「武士とその妻」との出会いが時代劇に対する思いを変えたのですね。
そうですね…、若い役者さんの中で時代劇ができる人が減ってきたと言われている印象があって。日本といえば“時代劇”と海外から認めてもらえることも多いですが、その分理解されるのも難しい分野でもあると思っています。でも、時代劇は日本を象徴する文化の一つでもあるので、役者としてすごく大事にしていきたいです。
今回は小五郎というすごく真っすぐな人物を演じましたが、武士に限らずいろんな役を演じてみたいなと思います。いろんな人間がいてこその“時代劇”ですから。
いつかは100人斬りもやってみたいですけど、時代劇は武士だけではないので。とにかく機会があればどんな役でも挑戦していきたいです。
――最後に作品の見どころと読者へのメッセージをお願いします。
「武士とその妻」というタイトル通り、武士と妻の心情の部分がすごく深く描かれています。10代、20代の方が見た時に「なんでこんなに融通が利かないの?」「逃げてしまえばいいじゃないか」と感じる方も多いと思います。
しかし、小五郎が生きた時代は、自分が決めたことを貫き通すことこそ“誇り高き生き様”であった時代です。彼の行動に対して「なんで?」と疑問を抱くこともあるかもしれませんが、小五郎という人間を通じて一つのことを大事に生きた人間がどう見えるか、じっくりと考えながら楽しんでいただきたいです。
そして、もし皆さんに迷いや不安があるのであれば、小五郎を見ていただければ何か後押しをしてくれるような部分も描かれていると思います。登場人物がすごく魅力的ですし、久しぶりに心が震えたドラマだったので、皆さんの心にも響くとうれしいです。