今話題のイケメン昆虫ハンター・牧田習。「三度の飯より虫が好き!!」と公言し、テレビ番組にも多数出演。2021年1月にはNHKプロデューサーの目に留まり「ダーウィンが来た!」にも出演を果たした。
幼少期から昆虫好きで、ついには昆虫のために地元・兵庫から北海道大学へ進学。その後、東京大学大学院(農学生命科学研究科)に進み、現在は大英博物館やオックスフォード大学など海外の研究者と協同で昆虫研究を行い、新種を発表し続ける。
そんな彼が虫たちの知られざる生態を面白おかしく解説する本連載。今回は、美しさでおなじみのあの昆虫に注目!
身近で見られるのはメスばかり!?
最も美しい昆虫は何ですか?と聞かれると、綺麗な昆虫が多すぎるせいで、とても困ってしまいます。でも「タマムシ」は間違いなく、とても美しい昆虫の1つだと思います!
タマムシは世界中に6000種以上いるのですが、青や緑に輝く種類が多く、どれも見ているだけで癒されます。その中でも、今回、紹介するのは、その美しさから国宝・玉虫厨子にも上翅が使われている「ヤマトタマムシ」という種類です。
ヤマトタマムシは緑と赤に輝く美しい羽を持ち、日本のタマムシの中では最も大きく、有名な種類です。ちなみに「ヤマト」を付けずに、「タマムシ」と呼ばれることも多いです。
成虫は夏に現れて、エノキやサクラなどの葉っぱを食べ、木に卵を産むために薪や枝が積んでいるところでよく見つけることができるのですが、このヤマトタマムシ、メスに比べてオスを見つけるのがものすごく難しいんです!!
僕はこれまでの人生で、何百匹ものヤマトタマムシに出会ってきましたが、その中でもオスは数匹だけでした。その理由は、メスは産卵するために人間の目につきやすい薪や枝が積まれている場所に降りてくるのですが、オスは木の上で葉っぱをむしゃむしゃ食べているため、なかなか出会うことができないのです。
身近だと思っていた昆虫がメスばかりで、オスは滅多にいない! なんてことがあると思うと、昆虫の世界は知らないことだらけだなと思います。