近藤P「初めての視聴体験をぜひ味わっていただきたい」
――今回の番組はとても斬新で新しいものになっていると思いますが、まず読者の方にこの仕組みや特徴をわかりやすく説明していただいてもよろしいでしょうか。
一言で言うと今までは「見せられるだけ」だったテレビ番組の中身を、視聴者の皆さんにスマホを使っていただくことで中身を変えることができるようになっています。そんな番組は今までなかったと思うので、そんな初めての視聴体験をぜひ味わっていただきたいというのが狙いです。
例えば、テレビではラブストーリーになっているけれど、スマホだとサスペンスストーリーに変えることができるとか、テレビではモザイクがかかっているロケの映像を、スマホではモザイクを外すことができるとか。そのようにテレビ番組の中身を自分のスマホで変えて、カスタマイズできるという番組です。
――「なんかいみちゃうTV」が誕生したきっかけを教えてください。
きっかけは、大きく分けて元々二つあって。まず、ソフトな面でいうと、昔のテレビの作り方の方が「どうやって視聴者をびっくりさせようか」と作り手も考えていたと思うし、視聴者もテレビを見てもっとワクワクしていた気がしていたんです。
少し前は、僕も携わってきた「めちゃ×2イケてるッ!」(1996年~2018年、フジテレビ系)や「はねるのトびら」(2001年~2012年、フジテレビ系)など、出演者は決まってるけど、毎週何をやるのかはあまり決まっていないような総合バラエティーが多くありました。
そういう番組を作っていた経験上「次はあの手で、次はこの手で…」と、こんなことは誰もやっていないだろうと思う内容を毎回お届けしていたつもりだったんです。
けれど、今はそういう番組が減ってしまってコンセプチュアルな番組が増えましたよね。枠を超えてワクワクドキドキするようなものを、あまり視聴者に届けることが出来ていないなと自分の中で反省があって、どこかでちゃんともっと視聴者にワクワクドキドキする視聴体験してもらえるような番組を作りたいなと思ったんです。
もう一方のハード面でいうと、うちのデジタルデザインという部署がC×M(シーバイエム)というシステムを開発しまして。これはユーザーがテレビのQRコードを読み込んだ瞬間に自動的にスマホが起動し、そのスマホへ見せたい映像を送れるというフジテレビの独自の技術になっています。
その部署に僕の後輩がいて「何か新しいことができないか」と、企画会議をしていたんです。そこでそのシステムを知り「だったらこういうことができるかも!」となって、今回の番組企画が立ち上がりました。