反町隆史が考える理想の上司「部下の経験や学びのポイントに気付ける人」
――これまでも、「男性が憧れる役」をたくさん演じてこられたと思いますが、今作の「理想の上司像」をどのように解釈されましたか?
まずは、「“理想の上司”とは、果たしてどういうものか?」ということですよね。上司が部下を見た時に「凄さ」や「良さ」を感じるポイントや、そこから得る「経験」や「学び」はそれぞれ違うと思うんです。
それは言い換えると、僕自身が「いかにそのポイントに気付けるか」ということでもあると思うので、些細なところにも気を配りながら、“理想の上司”像を作っていきました。
石沢課長の「部下と同じ目線に合わせて話が出来る姿」が演じなければ、この作品をやる意味がない。僕自身が石沢課長を演じる上で、一番深く考えさせられたポイントでしたね。
――キャリアを積み重ねてきた反町さんは、若い俳優さんたちから見ると「憧れの先輩」でもあり、「ちょっと怖い存在」でもあると思います。どのように交流を深められたのでしょうか?
「普段は何をやっているの?」とか、「何が得意なの?」みたいな何気ない会話が多いですかね。あとは、「学生時代どんなことやったの?」、「どんなスポーツをやっていたの?」みたいなところから徐々に会話を掘り下げていきましたね。やっぱり、何気ない会話が大切ですよ。
――今作では、新入社員の麦田歩を福原遥さんが演じられました。どのような印象を感じましたか?
「凄くストライクな芝居するな」と思いましたね。石沢課長の(感情や動作の)“振り幅”が大きければ大きいほど、作品としての面白さは増すと思うんですよね。石沢課長が、多少“ズレ”ていたとしても、福原さんが「ストライクな芝居」してくれているので、自然と(中心に)戻してもらえるんです。
新入社員を演じる福原さんの目線で作品は作られていますから、自然な形で中心に戻れるという点では助かった部分もありました。実際に完成した作品を見てから、それを特に感じさせられましたね。
――最後になりますが、「今どきの若いモンは」と言う作品をご覧になる皆さんへのメッセージをお願い致します。
「今時の若い人は…」っていう台詞は、僕たちの生まれるもっと前にもあったでしょうし、これからも多分変わらずにある言葉だと思うんですよ。だけど、年上の人が渦中の“今時の若い人”にこのセリフを言ったところで、「何だよ!うるせえな!」と言われて、それで終わってしまう。多分、若い頃の僕も同じようなことを言われたことがあって、“現代の若者”が感じるような煩わしさを、同じように感じていたはずなんですよね。
ただ、「今どきの若いモンは」と言う台詞が生まれるような若者と年配の方々がと交わる機会は、お互いの成長や歩み寄りがなければ、成し得ないことだと思うんです。そもそも交わる機会が限られているでしょうからね。なのである意味では、人間同士の心が通じ合う瞬間の“アナログの話“でもあるんですよ。一人でも多くの人に作品を見ていただいて、世代を超えた人々が交流する様子を楽しんでいただけたら嬉しいです。