今作の舞台は高校。ということで、最後に自身の“恩師”にまつわる思い出を聞いた
「実際の学校の先生じゃないんだけど、10代の僕を大きく変えてくれたのは蜷川幸雄さん。16歳のとき蜷川さんの舞台で初めて台本を持って、その稽古中に17歳の誕生日を迎えたんです。
当時は人前に立つことや何かを表現すること自体初めてで、まだ“お芝居”って言葉も使っちゃいけないくらいのレベル。その最初の入り口で自分を迎えてくれたのが蜷川さんなのですが、僕、それまではこの世界を本当にナメてたんです。でもそこで初めて、うわ、すごい場所なんだって分かりました」
さぞ厳しい指導だったのではと推測するが、蜷川氏は思いも寄らぬ対応だったと振り返る
「いろんな厳しさがあると思うけど、自分が受けたのは”逆・蜷川幸雄”というか。灰皿が飛んだり、罵倒されたり…というのをイメージしてたら、それはゼロ。その代わり、かなり近い距離で僕がせりふを言ったり何かをしていても蜷川さんはずっと台本を見たままで10日以上一度も見てくれなかった。『はい、もう1回』だけでね。それくらい自分の芝居がひどかったんですけど、見るに見かねた共演の大先輩たちが『木村くん、ちょっと上行こう』って稽古場2階の物置スペースで基本の声の出し方を教えてくれたりして。
桃井かおりさんも当時の自分をリラックスさせてくれたな。今考えると本当にすごい時間だった。そして迎えた本番、人生で初めて舞台という場所に立ってお客さまに拍手をいただいたときに、初めて僕の本気スイッチが入った気がします」
第3話あらすじ(4月28日放送)
ボクシング部唯一の女子部員・あかり(山田杏奈)が、桐沢(木村拓哉)に「けんかで勝てるボクシングを教えてください」と懇願する。桐沢はリング外で人を殴ることを禁じた上で話を聞こうとするが、葵(満島ひかり)に非常勤講師は関わらなくていいと忠告される。しかし、桐沢はあかりの家庭の事情を気に掛ける。