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ミュージカル『バケモノの子』演出の青木豪が作品にかける思いを明かす「外部のカンパニーで演出するのは、出張シェフのよう」【連載:劇団四季ミュージカル 劇場から渋天街へ続く道#5】

2022/07/19 13:00

「ご褒美をいただけた気持ちになりました」

 最終通し舞台稽古の様子
最終通し舞台稽古の様子 撮影=大川晋児

――キャストはオーディションで選ばれましたが、選ぶ時の決め手は?

Wキャストでは、どちらの俳優も同じような感じに見える場合もあれば、ふたりが全然違って二度楽しめる場合もあります。最初にこだわったのは宗師役ですね。とにかく性別や年齢を感じさせない人にしたくて性別を問わずにオーディションしたのですが、不思議と女性のほうが超越した感じに見えるような気がしたんです。今にして思うと、「まんが日本昔ばなし」のような語り口に取り込まれたいと思っていたのかもしれません(笑)。この人がいてくれたらこの世界は大丈夫という安心感を、宗師に求めていたのかなと思います。

――青木さんは、稽古場で俳優が提案したことも、良いものはすぐに採り入れてくれると

以前は自分で全部決めていたのですが、ある時急に、自分で考えたものがそのまま出来上がっても、あまり面白くないと気づいたんです。せっかく人とやるのだから、考えてもいなかったことができ上がるほうが絶対面白いはずだと。だから、常に俳優さんが意見を言えるような場の空気を作るように心がけています。

――初日が開いて、実際に観客が入っているのを見ていかがでしたか?

“劇団四季ならでは”と言っていただくことも多くてうれしいですね。外部のカンパニーで演出するのは、出張シェフのようなイメージを持っていて(笑)、そこにある食材やツールを使って、ちょっとだけ自分の味わいが入れられたら、仕事ができたかなという気分になるんです。だから、四季を長くご覧になっているお客様が喜んでくださっているのを見ると、ちゃんと仕事ができたんだとうれしくなります。今回はオープニングに特にこだわって、映画とイントロを同じにしたかったので、映画のように火が出てきて、それが映像から本物になっていって、お客様を異世界に取り込んでいく演出にしています。異世界に入り込んだお客様が、後半に行くに従ってどんどんドラマに呑み込まれ、空気がピーンと張り詰めていくところはワクワクしますね。初日が終わってスタンディングオベーションをいただいた時は、このお客様の拍手を見たかったんだと思って、何よりのご褒美をいただけた気持ちになりました。

取材・文=原田順子

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

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  • ミュージカル「バケモノの子」の演出を手掛ける青木豪
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