このアルバムの目玉を入れるような感覚でした
そんな今作のコンセプトを提示し、作家陣には「このテーマにシンクロする言葉を紡いでほしい」とオーダーしたという水樹。アルバムの幕開けを飾るM1の「MY ENTERTAINMENT」から、“今だからこそ”のメッセージに胸を打たれる。
「『MY ENTERTAINMENT』はこのアルバムを象徴する1曲にしたいと作詞作曲のヨシダ(タクミ/saji)さんと最初からお話していました。混沌とした状況から立ち上がり鬨(とき)の声を上げるような、イントロから“Wow…”とみんなが発する声が重なって、最終的にそれが一つになるようなイメージで作っていただきました。歌詞は“声”というワードを必ず使ってほしいとお願いして。声優、歌手としての活動は“声”なくして始まらないし、私にとって声は命。アフレコ現場ではいまだに分散収録が続いていて、日常生活でも思いきり声を出すことが禁じられているそのもどかしさも表現したいと思ったんです。完成した歌詞を見たときは、まさに私が2年半の間感じていたことを形にしてくださったと感激しました。ヨシダさんはご自身もアーティスト活動をされていますが、作家としても本当に素晴らしい方。メロディーはもちろん歌詞にもエッジが効いてたり、思春期を思わせる青さも素敵で…。『いつものヨシダ節全開で書いてください』とお願いして間違いありませんでした!」
つい数日前にオールアップしたという今作のレコーディングは、この「MY ENTERTAINMENT」がラストだったという。
「このアルバムの目玉を入れるような感覚でした(笑)。『MY ENTERTAINMENT』はすごく躍動感に溢れた曲で、自分自身も鼓舞されながら音の中で解き放たれるように歌いました。しかし、畳みかけるようなメロディー展開で、実はブレスポイントがめちゃくちゃシビア。本当に大変な曲なのですが、それも楽しくて、歌える喜びを炸裂させながらレコーディングしました」
同じく新曲の、スマートフォンゲーム「鋼の錬金術師 MOBILE」主題歌「スパイラル」はMVもすでに公開中の1曲。
「ゲームの制作は進行が早く、実はこの曲は2年前に収録していたんです。なので今、ようやく皆さんにお届けできる喜びに満ちております(笑)。制作当時はまさにコロナ禍に突入したころで、情報も少なく、見えないものと戦うという緊張が非常に強かったとき。その時点ではまだアルバム制作は決まっていなかったのですが、作品(『鋼の錬金術師』)の世界観に寄り添いつつ、人々の繋がりを意味する内容が自然と今作のテーマとリンクしていました。この曲も、まさに今届けたい楽曲です」
MVは衣装の小物に取り入れられている“赤”が主人公のエドワード・エルリックのコート、セット中央の巨大なオブジェが原作に登場する『真理の扉』をイメージしている。
「MVも同じく2年前のタイミングで制作していて、当時は今よりももっと色々な制限が厳しかった時期。撮影はステイホームが一時解除されたタイミングで行なったのですが、細心の注意を払いながら最小限の人数で敢行しなければならなかったこともあり、いろいろアイデアを出しながら臨みました。その結果、あえてシンプルに削ぎ落とすことでドラマティックに見せられるのではないかと。そのぶん、歌詞の世界を自分のパフォーマンスだけで表現するという緊張感のある撮影でした」
収録曲●MY ENTERTAINMENT/Red Breeze/スパイラル/Reboot!/HOLY TALE/ダブルシャッフル/Get up! Shout!/ストラトスフィア/Link or Chains/DNA -Dance ‘n’ Amuse-/FIRE SCREAM/Stand by you/全力DREAMER/HOME/Go Live!
みずき・なな=1月21日生まれ、愛媛県出身。1997年声優デビュー。2000年に歌手デビューし、2005年には日本武道館公演、2009年には「NHK紅白歌合戦」(NHK総合ほか)に初出場する。2011年には声優では初の東京ドーム2daysを開催し、約8万人を動員。声優、歌手、さらにミュージカルにも活躍の場を広げる。7/16(土)からライブツアー「NANA MIZUKI LIVE HOME 2022」をスタートさせる
公式HP
https://www.mizukinana.jp/