体力を持っていかれるような力強い作品だなと
――台本を読んだ時の作品や伊藤野枝に対する印象を教えてください。
台本を読むだけで体力を持っていかれるような力強い作品だなと感じました。伊藤野枝さんについては、“朝ドラ”の「花子とアン」(2014年、NHK総合ほか)で演じた村岡花子という人が生きていた時とは全然違った激動の時代の中で、自分から動き出した素晴らしい方だなと思っています。生命力がとても強い人だなと感じていて、発言一つとっても力強い方で、演じていても体力を使いました。「少しくらい人に流されてしまったらいいのに」と思うところを、彼女は立ち向かって戦って、全てに対して全力で向き合って生きていた方だなという印象です。
――NHKでの撮影はいかがでしたか?
監督が朝ドラの時にご一緒させていただいた方だったので、とても懐かしい気持ちから入ることができました。柳川監督のやわらかい人柄のおかげで、現場の空気感も和やかでした。スタッフの方々もポテンシャルの高い方が多いなと感じました。久しぶりのNHKさんでの撮影で驚くことばかりでした。
自分とは真逆な人だと思います
――伊藤野枝を演じる上で、自分と似ている部分はありますか?
自分とは真逆な人だと思います。野枝さんが生きた時代では、私はずるく生きて長生きするタイプだと思います(笑)。自由を求めたくても、野枝のように戦わないと思います。真っすぐで、矢面に立って自分の考えを発言できる野枝さんはすごいなと思います。
――なぜ伊藤野枝は殺されてしまったのだと思いますか?
当時は、皆心の中では思っているけど、怖くて発言できない時代だったと思います。憲兵の人たちも真っ当なことを言われることを恐れている中で、怖気づくことなく、いとも簡単に、憲兵たちが言われたくないことを口にする伊藤野枝が怖かったのだと思います。