強くて太くて短く燃え尽きるといった感じを意識しました
――伊藤野枝を演じる上で、意識したことはありますか?
監督に「あまり柔らかい人物とかかわいらしい人物にならないで」と言われていたので、強くて太くて短く燃え尽きるといった感じを意識しました。野枝さんの声は太かったのかなとか考えながら演じていました。激動の時代に生きた女性なので。
――心が折れそうになる瞬間はありましたか?
折れそうでしたね。野枝さんは、「畳の上では死ねない」と自分でおっしゃっていた人なので、自分の考えを貫くしかない生き方だったのだろうなと思いましたし、彼女の気持ちの強さや力強さは、自分にはないものなので演じる上ではとても大変でした。彼女自身、ずっと苦しい人生だったと思います。私も野枝さんを演じている期間は重くのしかかってくる感覚があり、しんどいと感じる時もありました。
今まで使ったことのない言葉が多くてとても印象的でした
――印象に残っているセリフはありますか?
最後の方のシーンで、殺される前に憲兵さんに向かって言った「犬」というセリフは印象に残っています。権力を盾にして向かって来る人たちに、一人の女性が堂々と言葉で愚弄し合うような、今まで使ったことのない言葉が多くてとても印象的でした。野枝さんは、言ってはいけないことを、鋭い剣で刺すような言葉で伝えていく人だったのだなと思いました。
――演説のシーンはいかがでしたか?
演説のシーンは7、8ページくらいの長セリフでした。演説なので、気持ちや言葉をはっきり伝える必要があったので、そのシーンはクランクインする前から不安に思っていました。とても時間をかけて作り上げたシーンです。