佐久間「好きでいてくれてありがとうございました」
湊の告白を聴いていた佐久間は部活用具を下ろして湊のもとに戻り、おもむろに晃くんありがとう、君はあの頃も今も私の大切な教え子ですと語りかける。湊はホッとしたのか顔を手で覆い、「時間差失恋」と言った。新鮮な傷でなくても、当時の自分の思いもまるっと浄化された寂しさが伝わってきて、見ているとじわじわと涙がこみ上げてくる。間の抜けたカラスの鳴き声がまた心憎い。
そんな湊の頭を佐久間は優しくポンポンすると、湊は「でも、ちゃんと言えて良かったです」と笑顔を見せる。佐久間はこれからも君が心のままに生きて、幸せになれることをずーっと祈っていますよと握手の手を差し伸べ、最後に「好きでいてくれてありがとうございました」と言った。さりげなく“過去形”にするところに佐久間の優しさと厳しさを感じさせる。湊はもうこれでケリを付けなくてはいけないし、きっと心で決着をつけることができただろう。佐久間はびっくりするぐらい天然ではあるが、肝心なところではしっかりと勘が良い先生だ。湊が好きになってしまったのが十分過ぎるほど理解できる。
湊は差し出された手を握り返し、佐久間の目を見て「先生、ありがとうございました」と告げた。湊とかっちりと握手を交わし、帰りかけた佐久間は「あ!」と言って振り返り、「そう言えば、君のキスはとっても情熱的でしたよ」と笑いかける。かわいそうなことに湊は慌てて「それはもう忘れてください」と駆け寄るのだった。
佐久間先生、どこまでが天然でどこからが計算なのか、計り知れない怖い男だ。ともあれ、湊の10年越しの恋のピリオドがさわやかに打たれて、見ている方も後味良く胸を撫で下ろすことができた。Twitterでも「ちゃんと言えて、ちゃんと振られて良かった」「湊さん、これはもう黒歴史なんかじゃないからね」「シンの作ったお守り持って告白なんて、これ以上ない程大切な想いを抱えてるよ湊さん」「よく言った…湊さんえらいよ…」「時間差失恋でもくるもんはくるよなぁ…」と視聴者の噛みしめるようなコメントが無数に寄せられていた。
◆文=ザテレビジョンドラマ部