2位は韓国発のパニック&ヒューマンドラマ、そして栄えある1位はあの不朽の名作!
──残すはあと2作品。それでは2位をお願いします。
「新感染 ファイナル・エクスプレス」(2016年・韓国)。最近、韓国のゾンビ映画・ドラマがアツくて、中でもこの作品はお金が掛かっていて、めちゃくちゃ面白かったです。高速鉄道の車内で、主人公の男の人とその子どもがゾンビから逃げるんですけど、(高速鉄道を)止めることはできない、他の車両には大量のゾンビがいる、という大変な状況で「さあ、どうなるのか!?」とハラハラドキドキさせられます。
──2位に選んだポイントは?
最初、この親子の関係があまりうまくいっていないんです。お父さんがどちらかというと子どもに愛情がない。でもゾンビに襲われるというパニックの中で、気持ちが変化して子どもを必死に守るようになる。そうした姿に純粋に感動しました。あと、ゾンビを演じる役者さんの演技のレベルが高い! そういうのも含めて、同じアジア圏の国が「こんなすごいゾンビ映画を作れるんだ」という敬意から2位に選びました。
【染谷’s 3ツ星チェック】
ストーリー:★★★
ゾンビのリアル度:★★☆
ハラハラドキドキ度:★★★
スッキリ爽快度:★★★
──いよいよ1位の発表です。染谷俊之が選ぶNo.1ゾンビ映画は?
「ドーン・オブ・ザ・デッド」(2004年・アメリカ)。これは、街がゾンビだらけになってしまって、ショッピングモールに逃げ込むというストーリーです。
──この作品を1位に選んだ理由は?
けっこう前(2004年)の作品ですが、ゾンビ映画ファンなら誰もが認めていると思います。見方によってはB級なんですけど、革命的だったのはゾンビが全力疾走するところ。それまでのゾンビは動きがゆっくりで、大群で人間を囲んでいくのがセオリーでした。それを打ち破って、全力疾走するゾンビをおそらく世界で最初に登場させた作品だったと思います。だからめちゃくちゃ怖い。しかもめちゃくちゃ速い。今でこそ動きの速いゾンビは珍しくなくなってきましたけど、当時は「うわあ、すげえ!」って感動しましたね。その後「バイオハザード」などでもいろいろなタイプのゾンビが出てくるようになるのですが、「こういうゾンビがいてもいいんだ」という流れを作った作品ということで、チェック項目の点数を度外視して1位に選びました。
【染谷’s 3ツ星チェック】
ストーリー:★★☆
ゾンビのリアル度:★★☆
ハラハラドキドキ度:★★★
スッキリ爽快度:★★☆
──ありがとうございました。改めてゾンビ映画の魅力とは?
まず見ていてスッキリします。「バイオハザード」とか、めちゃくちゃゾンビを倒すんですよ。人を殺すシーンだといろいろ問題になることもありますが、これがゾンビだったら許されちゃう。次に、ゾンビ映画あるあるなんですが、自分の恋人や子どもが感染してしまい、助けたいけど殺さないと自分も感染してしまうので、泣く泣く殺すというお約束の展開。それが分かっていても、たまらなく切ないですね。あとはゾンビ映画には、必ずもう一つのテーマが隠されています。例えば「新感染 ファイナル・エクスプレス」だったら親子愛。パニックホラーの要素以外にもたくさんの魅力が詰まっているところです。
──最後に、数々の作品を見てきた染谷さんが見つけたゾンビの対処法を教えてください。
ショッピングモールに逃げること。これは間違いないです(笑)。ショッピングモールには食料もあるし、武器の代用になるものもたくさんあります。日本だと銃は手に入らないですが、仮に銃を持っていても実はゾンビには逆効果。なぜなら銃声に気付いて群がってくるからです。では何がいいかというと、ナタみたいな細長い武器です。バットや鉄パイプなどでもよくて、そういうものならショッピングモールにきっとあります。そして何より広いので、時間を稼げます。何とか生き延びれば、自衛隊や軍などが救出に来てくれるかもしれません。もしくは北海道のような広大な場所の森で身を潜めて暮らす。そのどちらかをおすすめします(笑)。
尚、染谷俊之は2023年に順次ロードショー予定の映画「パラダイス/半島」で主役を演じる。
取材・文=河合哲治郎