TVerでは今、「名作ドラマ特集」で過去のドラマを配信中。見られる作品があんまりたくさんあるので、何を見ようか迷いますよね。なので、おすすめな作品をドラマ内の「ふたりの関係」に注目しながら選んでみました。
「義母と娘のブルース」(TBS系)
仕事ができて生真面目な亜希子さん(綾瀬はるか)と、彼女の義理の娘となった元気なみゆき(横溝菜帆/上白石萌歌)。みゆきの父の良一(竹野内豊)と亜希子さんが恋愛抜きで結婚したことから義理の母娘となり、いろいろなことを乗り越えながら、親子、友だちあるいは人生の先輩と後輩のような、微妙であたたかな関係を作り上げていく「ふたり」がとてもすてき。ふたりのやりとりをくすくす笑いながら見ているうちに、お互いを思いやる気持ちについホロリとしてしまう。
「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」(日本テレビ系)
強気な盲学生のユキコ(杉咲花)と、ヤンキーな見た目で誤解されがちだけど、とても優しく純粋な森生(杉野遥亮)。偶然出会ったふたりが惹かれあい、相手のことをもっと知りたいと、気持ちを寄り添わせていく過程がすばらしく、毎週夢中で「ふたり」を応援していました。そしてドラマの中で、見えない・見えづらい人たちの毎日について、知らないことを教えてもらえたのもありがたかった。
「恋はつづくよどこまでも」(TBS系)
魔王と呼ばれる性格のキツい医師・天堂(佐藤健)に恋した、勇者と呼ばれる看護師・七瀬(上白石萌音)。ドジっ子による王子様への片思いが実る……このドラマがそんなよくあるラブコメにならなかったのは、「ここできっとハグするよね」みたいな予想をしていても、佐藤健さんが想像を上回る格好良さを毎回見せつけてきたからではないでしょうか。天堂先生にタートルネックを着せた人、すばらしいです。そして七瀬が、恋に夢中になるだけでなく、しっかりと看護師として成長し続けていたのもよかった。恋も仕事もがんばる姿を見たら、彼女を応援するしかないですよね。結婚した「ふたり」のその後とか、続編があったらいいなあと思っています。
「ごめんね青春!」(TBS系)
仏教系の男子校とカトリック系の女子校に、合併話が持ち上がるところから始まるコメディです。男子校の気弱な原先生(錦戸亮)と、女子校の強気な蜂谷先生(満島ひかり)。この水と油な「ふたり」が、どう溝を埋めていくのか。繰り広げられる笑いの中に、ところどころで青春の痛みがはさまれる、とても不思議な感覚のドラマです。川栄李奈さん、黒島結菜さん、森川葵さん、重岡大毅さん、小関裕太さん、矢本悠馬さん、竜星涼さんなど、若手の人気俳優さんが生徒役で多く出ているのも、楽しい。そして彼らがドラマ内でまた新しい「ふたり」の関係を作っていくのもおもしろい。
「きのう何食べた?」(テレビ東京)
シロさん(西島秀俊)とケンジ(内野聖陽)が、仕事して買い物しておいしいご飯作って食べておしゃべりする、ただの日常ドラマ。でもその「ごく普通の日常」が、なんでこんなにいとおしいんでしょう。ベタベタもいちゃいちゃもほぼしないけれど、深い愛を共有している「ふたり」に、あたたかなごちそうをお裾分けしてもらっているような気持ちになれるドラマです。
無料配信中の作品は他にもいろいろ。秋の夜長にTVerでドラマ、どうぞごゆっくり。
■文・イラスト/渡辺裕子