コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、Twitterで日常系コミックエッセイを投稿する福田ナオさんによる『天才じゃない自分との付き合いかた』。いろんな物事に挑戦するときに、自分は天才ではないということを自覚して「逆にゆっくり成長することを楽しむ」ことの大切さを描いたこちら。Twitterで公開したところ、2.3万件を超える「いいね!」を集めた。この記事では作者の福田さんにインタビューし、作品を描いた背景や福田さんなりのゆっくり成長を楽しむコツを伺った。
「天才型主人公」に憧れた子どものころ。今は、ゆっくり成長する自分を受け入れられるように
スポーツ漫画などにおいて、生まれ持った天才的なセンスによって常人離れしたスピードで成長し、その世界でたぐいまれなる活躍をする……そんな「天才型主人公」と自分を重ねてしまう経験はきっと誰しもあるだろう。
福田さんもそんな「天才型主人公」に憧れを抱いていた一人。だからこそ、子どものころはさまざまな葛藤があったそう。中学で卓球部、高校でオーケストラ部に所属していた福田さんは、そうした天才とは異なる「すぐできるようにならない自分」が嫌だったと語る。
しかし、今では「すぐにできない自分」を認め、のんびり成長することを逆に楽しむことができるようになった福田さん。漫画では最近のエピソードとしてけん玉の「灯台」という初心者鬼門の技に挑戦した様子が描かれている。1週間練習してもなかなか「灯台」に成功しない福田さん。でも、「(今はできなくても)100日後はどうかな!?」というポジティブな考えに変えることにより、ゆっくりと成長していく自分を受け入れるようになったという。
Twitterでは「この考え方すんごい好き」「めちゃくちゃ共感しました。マイペース大事」といったコメントが寄せられている。記事では、この『天才じゃない自分との付き合いかた』の話と合わせて、2022年5月26日に発売された福田さんの近著『楽しいことしか起きない! 福田ナオのわくわくインターネット生活』から数話を抜粋して掲載。ぜひあわせて一読してほしい。
「自分はマンガの天才キャラじゃない」ようやくたどり着いた考え方
――『天才じゃない自分との付き合いかた』の話を漫画に描こうと思ったきっかけについて教えてください。
昔から「自分はマンガの天才キャラのような急成長ができない人間だな」とコンプレックスを抱えていたのですが、ここ数年は自分の成長スピードについて改めて考える機会が増えていました。それは仕事であったり、毎日描いている絵のことであったり、ゲームであったりとさまざまなことなのですが、「ゆっくりでも着実に成長していけばいいじゃないか」とようやく思えるようになってきました。
2ページ目に描いたけん玉のことはまさしく実話で、「灯台」という初心者の鬼門にぶつかりながらも「じっくりやって行きますか……」と自然に思えたことが執筆の最後の一押しになった印象です。
――漫画の中では中・高の部活動で「すぐできるようにならない」ことで落ち込んだ様子が描かれていますが、その後福田さんがゆっくり成長することに向き合える(楽しめる) ようになったきっかけ・エピソードがあれば教えてください。
一番大きいのは毎日描いている漫画です。客観的には大して上手なわけではないとは思いますが、私としては現状のクオリティに到達できただけでもかなりうれしく思っています。日記みたいなものをある程度の見映えで発信できるレベルになれたらいいなと思っていたので、ひとまず最低限の目標は達成できました。コツコツ毎日練習を積み重ねることがすごく苦手だった私にとってははじめての成功体験なので嬉しく思っています。
もう一つ、『ダークソウル』シリーズという難しめのゲームに2年前からハマっていて。ゲームが本当に苦手だった私でも何度も試行錯誤を繰り返せば絶対ボスを倒せるようになるという実感を得られたのも大きかったと思います。
――「ゆっくり成長することを楽しむ」ことがなかなかできない読者もいるかと思います。そうした方に向けて、福田さんなりのゆっくりの成長を楽しむためのコツなどあればお教えください。
私程度のアドバイスよりは著名人の発言を参考にした方がいいと思いつつ、まずはモチベーションを「とにかく継続する」にしてみるのがいいような気がします。私の絵の場合でいえば、最初は「やる気がない時は○(マル)1 つでもいいから描く」くらいの緩さでやっていました。その内ちょっとうまく描けたとか小さな成功体験が積み上がっていくとモチベーションを自走させられるような気がしています。
――特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。
詳細は伏せますがDMで「励まされました!!」と熱いメッセージを送ってくださった方がいて、私の発信したものが誰かの感情を動かすことができてよかったなと感じました。
――(本作に限らず) 漫画を描くうえで、こだわっている部分、また苦労した点などがあればお教えください。
できるだけ読んでくださった方が明るい気持ちになれたり笑顔になれたりするものを作るように心がけています。ただ、無理矢理ポジティブなことを言うのは自分の心が苦しくなるので、あくまで自分が素直に感じていることの中から選んで描いている感じです。
――今後の展望や目標をお教えください。
Twitter 漫画以外にもいろいろ展開していけたらと思っています。
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