高橋一生の印象は「繊細で鋭い方」
――花火と言えば「夏」のイメージですが、あえて「冬」の花火をテーマにした理由は?
おっしゃる通り、「冬の花火」というのは、なかなかないですよね。プロデューサーさんが「冬の花火ってよくない?」と言ったのが始まりだったかと思います。冬というのは乾いていて、冷たくて、寒い。そんな中、上がる花火はより奇麗に見えるというイメージがありました。
なんとなく体感として、「夏」の暑い時に打ち上がっている花火もいいですが、「冬」の寒い時期に見上げる花火ってなんかいいなと思って、「冬」の花火をモチーフに書いています。
――高橋一生さんの印象を教えていただきたいです。
感覚的なことで言えば、繊細で鋭い方。理論を構築するようなこともできる方だと思っていて、役によってバランスを変えているのかということは、私には分からないのですが、想像を超える素晴らしい表現をしてくださっています。
私たちが見えていない所に対する高橋さんのお芝居のこだわりがあるなと。実際に高橋さんがどのように、お芝居を探究しているかは分からないのですが、そういう確かなものがご自身の中にちゃんとある人という印象です。
もしかしたら、誰にも分からない所を突き詰めていらっしゃる方なのではないかなとも思います。
――星太郎というキャラクターを書く際には、高橋さんを意識されましたか?
高橋さんご本人を意識して書くことはないです。でも、書いた後に何となく、高橋さんご本人のことで感じたことがキャラクターに反映されていたかもなと思うことはあります。
――星太郎はどういったキャラクターですか?
とても狭い世界で生きている人です。今までの人生の中で、お母さんに関する大事件以外には、そんなに大きなことがなく、環境が変わらないまま、ずっとそこにいるんですね。
職業である花火師というのも、親がやってきた花火師にそのまま、自分もなるというのは、ある意味、外の世界というのを見ていない。しかも、もう40歳にもなっているので、自分のいる世界が固くなっていて、柔軟ではなくなってきてしまっている。
思考も何もかもどんどん固くなっているのに、動かそうとも思わないですし、今後、自分がそこから動くこともないんだろうなと思っている。ちょっとこじらせているキャラクターです。
それは環境的なことだけではなくて、お母さんへの思いだったりもするのですが、事実かどうかも分からないのに、勝手に「あの時はあぁだったんじゃないか」とか理由付けを重ねて、どんどん固めていってしまう、そんな人です。
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