柳楽優弥主演のヴィレッジ・サイコスリラー「ガンニバル」の第5話が1月18日に配信され、いよいよ最終回を含め残り2話となった。第4話終盤から登場した“村の誰かに顔を喰われた”と証言する男・寺山京介(高杉真宙)に加え、第5話では一癖も二癖もある、終盤を占うキーパーソンが続々と登場し、一筋縄ではいかない物語に拍車をかけている。残り2話、今からでも間に合うように「後藤家」「村民」「食人」といったキーワードとともに、異色の物語のここまでを振り返る。(以下、第5話までのネタバレを含みます)
ガンニバルとは
同作は、2018年に連載がスタートした二宮正明のサスペンスコミック「ガンニバル」を実写ドラマ化したもの。都会から遠く離れた山間にある供花村が物語の舞台で、事件を起こして村の駐在として左遷された警察官・阿川大悟が主人公。一見、犯罪とは無縁に思われるのどかで平和な村だが、一人の老婦人の奇妙な死をきっかけに、大悟は少しずつ村の異常性に気付いていく。
主人公である、狂気の世界へと誘われていく警察官・大悟役を柳楽が務め、供花村を支配する後藤家次期当主・後藤恵介役を笠松将、大悟の妻・阿川有希役を吉岡里帆、顔を喰われた青年・寺山京介を高杉、村のリーダー格のさぶを中村梅雀が演じ、毎週水曜にディズニープラスの「スター」で世界同時配信中だ。
のどかな風景が広がる供花村(くげむら)に、駐在として赴任してきた大悟。しかし、これは単純な“異動”ではなく“ある事件”を起こしたことによる懲罰的な左遷だった。その“ある事件”とは第3話「凶弾」で明らかになるが、娘・ましろ(志水心音)に付きまとう性犯罪者・今野翼(三河悠冴)を大悟が射殺するというものだった。追い詰められた今野がましろの首に刃物を当てて心中を図ろうとしたところを発砲。今野がやっていたことを知りながらも助けてあげたい、味方でいてあげたいと思っていたましろにとって、目の前で今野が自分の父親に射殺されたことは大きなトラウマとなり、それをきっかけに失語症となって感情も表に出ないようになってしまった。
そんな娘・ましろと妻・有希と3人で車に乗って供花村にやってくると、村の人たちが温かく出迎え、心機一転、新たな生活が始まるかのように思われた。しかし、その村は“人を喰っている”という不穏なウワサがある場所だった。大悟の前任となる駐在・狩野治(矢柴俊博)はギャンブルにハマり失踪したとされているが、有希が狩野の家族写真を見て、「ギャンブルにハマりそうな感じじゃないのにね」と言ったが、勘の鋭い有希の言葉は間違いではなかったことが後に判明する。
村を支配する“後藤家”の脅威
大悟が赴任してきてから不可解な出来事が次々に起こる。村で権力を持つ“後藤家”の中でも重要人物だった当主・後藤銀(倍賞美津子)が山中で惨たらしい姿で発見され、その腕には人間の歯形が付いていた。恵介は「婆ちゃんはボケとったけえ、自分でかんだんじゃろ」と主張するが、自分ではかめない位置にあることから、大悟は疑念を抱く。それに対し、虐待を疑われていると受け取った後藤家の人たちと意見が食い違い、赴任早々、大悟はやっかいな連中と一触即発の状態に。
また、しゃべれない娘のましろは夜中に家を抜け出し、橋の上で謎の大男と遭遇。ましろが飴をあげると、その代わりに“人間の指”を渡される。無事発見され家に戻った後、大悟がお菓子の箱を受け取ると、その中に指が入っているのを見つけた。後藤銀の指かと思われたが、後にそれは前の駐在・狩野のものだと分かる。
後藤銀の葬儀が行われた時、狩野の娘・すみれ(北香那)が現れ、銀の遺体が入っているはずの桶を蹴飛ばすと、中身は空っぽ。ここですみれが「遺体が残ってるはずがない。こいつら、人間を喰ってんだよ!」と叫ぶと、不気味な大男がすみれに接近。ここは恵介が間に入り、事なきを得たが大悟の中の疑念が大きくなっていった。
すみれの話を聞いた大悟は、狩野が後藤家に捕らえられているのではないかと考え、後藤家に単身乗り込んでいく。凶暴な睦夫(酒向芳)が大悟に発砲するなど、今度は脅しではなく襲ってくる後藤家の連中だったが、気性の荒さで負けてない大悟は睦夫たちを制圧し、連行しようとする。…しかし、そこで登場したのが例の大男。“後藤家で起きたことは、あの人の裁量で決まる”という言葉が聞こえたと同時に大悟は背後に気配を感じた。振り返ると鎌を振りかぶった大男が。瞬時に避けたものの額をザックリと切られ、大悟は気を失ってしまう。
気が付いた時は病院のベッドの上だったが、供花村の若者たちが発見して病院に運んでくれたという。犯人は後藤家の人間で自首したというが、それは“あの人”ではなかった。
有希からのお願いもあり、この事件から手を引こうとしていたが、大悟の乗った車が睦夫に襲われ、まさしく死闘を繰り広げることとなった。結果的に睦夫は狩野を殺害した容疑で逮捕されることになったが、“後藤家”ではなく、自分一人がやったと主張。こういう行動からも、何か隠さなければならないものがあるように感じられた。