新たな「鬼平」松本幸四郎と四代目鬼平・中村吉右衛門の貴重なエピソードが聞ける必見の特別番組
池波正太郎の代表作である『鬼平犯科帳』は、主人公のモデルと言われる初代・松本白鸚がテレビドラマで主演を務めて以来、丹波哲郎、萬屋錦之介、中村吉右衛門という名優たちによって引き継がれてきた。
新たな鬼平を演じる松本幸四郎がトークイベントに登壇
2024年には新作の映画公開と連続シリーズの放送が予定されており、「鬼平」こと長谷川平蔵を松本幸四郎が演じることも発表されている。幸四郎といえば、初代鬼平である松本白鸚の孫であり、四代目鬼平・中村吉右衛門の甥にあたるだけにまさに相応しい配役だ。ファンの期待は並々ならぬものがあると言えるだろう。
時代劇専門チャンネルでは、これまで歴代鬼平の魅力を紹介する特別番組を制作・放送してきたが、その第四弾の公開収録が1月19日に東京・日本橋のTOHOシネマズ日本橋にて行われた。新たな鬼平を演じる松本幸四郎が登壇してのトークイベントには、抽選で招待された約150名が参加。司会はフジテレビアナウンサー・佐野瑞樹、フリーアナウンサー・吉崎典子の両名が務めた。
「鬼平犯科帳スペシャル 引き込み女」撮影当時のエピソードも
トークイベントに先立ち、2008年に放送された「鬼平犯科帳スペシャル 引き込み女」の上映も行われたが、同作には当時35歳、市川染五郎時代の幸四郎が弓矢の名手である医師・玄庵役を演じている。
「出演が決まった時は、まずは生の鬼平に会えるんだという嬉しさでいっぱいでしたね。楽屋へご挨拶にうかがいましたが、もう既に鬼平そのものでした」と、懐かしそうに当時の興奮を回想した。幸四郎曰く、「叔父が鬼平なのか、鬼平が叔父なのか、もうわからなくなっていた」ほどで、当時の吉右衛門には長谷川平蔵が乗り移っていたのかもしれない。
撮影当時の台本も持参し、表紙に古地図が印刷されたカラー版の豪華な台本を披露していると、中に意外なものが挟まれているなど、ちょっとしたタイムカプセル的なハプニングもあって、会場は笑いに包まれた。
他にも映像を流しながら場面を振り返って、撮影時の逸話を語るなど、鬼平ファンにはたまらないイベントとなった。立ち回りでの奮闘ぶりを振り返り、吉右衛門の殺陣の力強さの秘密など、改めて明かされる現場の貴重なエピソードに会場のファンたちも真剣に聞き入っていた。
さらに玄庵と鬼平との2人だけで会話するシーンを振り返ると、「私だけが鬼平と対峙している。鬼平が自分だけを見ているなんて、たまらない」と、改めて鬼平の大ファンでもあったという当時の興奮が蘇った様子だった。
そんな思い入れのある作品に主演することが決まり、改めて新・鬼平としての意気込みも語ってくれた。前作を支えていたスタッフたちも集結し、当時の小道具類もすべて保管されているそうだ。そんな長年にわたって培われた遺産を継承しながら、新たに幸四郎なりの新しい鬼平を見せてくれるのだろう。
「着流しを美しく見せる工夫など、スタッフのこだわりも聞かせていただきました。叔父だけでなく、多くの職人たちの力が結集して長谷川平蔵を作りあげていたことを認識しました」と語る。さらには、劇中で駆使する江戸弁や乗馬の訓練の様子など、鬼平を演じる上での入念な準備に関する秘話も多く明かされた。
「火付盗賊改方を率いる長谷川平蔵が、なぜ“鬼”と呼ばれるのか。盗賊たちに“鬼”と恐れられるだけの迫力を現場で表現したい」と、演技へのこだわりを語る幸四郎の心は、既に鬼平となる心構えができているとも感じられた。
そんな見どころが満載の公開収録の模様は、「公開収録!新たな鬼平・松本幸四郎特別番組 第四弾~四代目鬼平・中村吉右衛門編~」として、2月4日(土)19時ほかに時代劇専門チャンネルにて放送される。同番組内では、当日上映された「鬼平犯科帳スペシャル 引き込み女」もあわせて放送。2月4日(土)は、「スカパー!時代劇専門チャンネル無料放送」の最終日で、同番組を無料で見られるチャンスである。幸四郎の生の声が聞けるだけでも貴重であり、鬼平ファンならこの特別番組を決して見逃さないようにしたい!
文=渡辺敏樹
放送日時: 2023年2月4日(土)19:00~ほか
チャンネル:時代劇専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます