山田孝之、自身が演じる服部半蔵について語る「基本的に人を信用しておらず警戒心も強い」<どうする家康>
怖くなり動けなくなってしまいました
――第5回の瀬名奪還に失敗するシーンを振り返っていかがですか?
鵜殿長照らに襲われた瞬間、「なんでバレてるんだ」と思考停止して怖くなり動けなくなってしまいました。しかも、そんな自分を救ったせいで、多くの仲間が命を落としてしまった。冷静に考えれば、相手方にバレた場合も想定しておかなければならなかったし、そうなっても動けるように日頃から準備しておくべきだったんですよね。(忍びではないですが)忍びとしての身体能力は低いですし、戦いたくないので日頃からトレーニングもしておらず、手裏剣一つ投げられない。とはいえ最低限自分が準備しておけば、仲間が犠牲になることもなかったのかと自分を責めたし、絶望したと思います。
それでも、もう一度瀬名奪還の任務に挑戦すると元康に申し出る覚悟ができたのは、亡くなった大鼠との約束があったからだと思います。きちんと任務をやり遂げて、銭をもらって、妻や子に分けて欲しいと言い残して死んでいった大鼠の言葉は絶対守らなければならないし、今度こそ成功させなければならない。でも、再度チャレンジすれば、指揮をとるのは頼りない自分なので、また余計に仲間の命を犠牲にしてしまうかもしれない怖さもある。でもやるしかない…。ずっと悩んで、葛藤して、人との間に挟まるというか。そうした人としての揺らぎが見えるシーンが多いので、人物像も自然と掴みやすかったように思います。