2022年12月27日から毎週水曜に配信され、2月1日に最終話を迎えた柳楽優弥主演のヴィレッジ・サイコスリラー「ガンニバル」。“食人習慣”というテーマや生々しくグロテスクなシーンの描写、そして俳優陣の熱演などにより、この1カ月ちょっとの間で強烈な印象を与えてくれた挑戦的な作品だった。(以下、ネタバレを含みます)
「ガンニバル」とは
同作は、2018年に連載がスタートした二宮正明のサスペンスコミック「ガンニバル」を実写ドラマ化したもの。都会から遠く離れた山間にある供花村が物語の舞台で、事件を起こして村の駐在として左遷された警察官・阿川大悟が主人公。一見、犯罪とは無縁に思われるのどかで平和な村だが、一人の老婦人の奇妙な死をきっかけに、大悟は少しずつ村の異常性に気付いていく。
主人公である、狂気の世界へと誘われていく警察官・大悟役を柳楽が務め、供花村を支配する後藤家次期当主・後藤恵介役を笠松将、大悟の妻・阿川有希役を吉岡里帆、顔を喰われた青年・寺山京介を高杉真宙、村のリーダー格のさぶを中村梅雀が演じ、ディズニープラスの「スター」で全話世界配信中だ。
開始1分で「ガンニバル」の世界に引き込まれる
物語の舞台となる供花村は、山間の自然が美しい(一見)のどかな村。昔は銅が採掘されたようだが、現在は林業が主な産業となっている。300人ほどの小さな村だが、“後藤家”の人間が権力を握っていて、特別扱いされている。こういうふうに説明しても取り立てて奇妙な感じはなく、ごく普通のどこにでもあるような村に思えるが、“この村では人を喰ってる”というウワサ一つで印象がガラッと変わってしまう。閉鎖された集落の中での昔からの風習、伝統とも言える“言い伝え”は何かしら、そう言われるべく理由があるもの。第1話の冒頭から、失踪した駐在・狩野治(矢柴俊博)の気が触れたようなシーンが展開し、開始1分で「ガンニバル」の世界に引き込まれていったのを覚えている。この村に新しく駐在として赴任してきた大悟にとっても、そのウワサが全ての始まりだった。
“人を喰ってる”というフレーズはインパクトが強いが、この物語に引きつけられる大きな要因となっていたのは、俳優陣の熱演だろう。最初に触れておかなければいけないのが、主人公・大悟を演じた柳楽。妻と娘との3人家族で、職業は警察官。娘の目の前で性犯罪歴のある男を射殺し、それが原因で左遷され供花村に来た。その状況だけ見ると、娘がその男と接点があり、追い詰められた男が娘を巻き添えにして死のうとしていたので、良くはないが“やむを得ない”状況と言えないことはない。同情の余地はありそうだが、普段から犯人逮捕の際に過剰な暴力を振るったりしていたので、近くにいた人たちにはそれほど同情されてはいなかったのではないだろうか。
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/gannibal
▼供花村ホームページ
https://dcam.disney.co.jp/disneyplus_jp/gannibal/kugemura/about.html
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