映画と音楽の両方を愛する者には何とも慌ただしく、しかも猛烈にうれしい時期がやってきた。米・グラミー賞、アカデミー賞の発表である。グラミーは2月5日に授賞式が済んだばかりだが、アカデミーのそれは3月12日(※現地時間)に行われる。長編アニメーション賞にノミネートされている「私ときどきレッサーパンダ」は、米国でのオミクロン株感染拡大を受けて劇場公開を中止、日本も足並みをそろえて中止し、ディズニープラスの配信のみとなってしまった経緯が。それだけにキャスト・スタッフの受賞への思いは並々ならぬものがあることだろう。そしてディズニー&ピクサーの関係者、ファンはもちろん、アジア系の人々(もちろん筆者も含む)にも大いに気になるところであるはずだ。(以下、ネタバレを含みます)
原題は「Turning Red」
原題は「Turning Red」。これを分かりやすく、いかにも親子連れが楽しめるように「私ときどきレッサーパンダ」という邦題にしたスタッフはとてもポップだ。実際、主人公のメイは“ときどき”レッサーパンダになる。普段は13歳相当の女の子だが、レッサーパンダ化すると、ときに天井を突き破りそうになるほど巨大化する。その謎も映画本編で、しっかり解き明かされている。
彼女の特徴は、大きく3つ。「母親に良いところを見せようと頑張る」「友人が多い」「とんでもない人気の5人組男性アイドルグループ(といっていいだろう)、4★TOWNの大ファン」。突如モフモフになる彼女に友人は最初こそ大いにびっくりするが、やがてそこを理解して、以前と同じような関係を続けていく。特に親しい3人の同級生とは、4★TOWNのスタジアムライブに一緒に行くことも計画している。4★TOWNのメンバーに恋をしているのだ。
明らかにおかしい母親の強烈なエゴ
だが、これが母親には気に入らない。「私の認めないものを勝手に好きになるなんて、あなたは私の子どもじゃないわ」「そんなこと言わないでママ、私いい子にするから」というような生々しいやりとりが届いたわけではないが、とにかく母親の強烈なエゴというか支配力の前に、メイはいったん屈する。娘の友人の目の前で彼女たち本人を、そして4★TOWNを罵倒する母親の醜さ! 明らかに人間性がおかしい。が、メイはこのとき、友人よりもその醜い母親を選ぶ。そうするしかなかったのだろう、だって、彼女に衣食住を提供しているのは母親なのだ。
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