妻夫木、鹿賀、榎木の演技に感嘆
「価値ある命を救えば評判は必ず巡る。その評判は多くの患者を集める、そして金を生む」「価値ある命を救ってこそ、多くの命も救える。これが俺の考える正しき医療だ」という信念を持つ剣持。病院スタッフの天野の高評価を聞いて密かに見せた、ゾッとする憎々し気な表情や腹に一物を抱えた雰囲気は、演じる鹿賀のうまいところ。
エースとしてクールさを見せてきた妻夫木が、亡くなってしまった青葉の母に真相を知らないなかで「あなたがもし命に優先順位をつけたのであれば、娘に生きる価値はなかったんでしょうか」と言われ、また青葉が残した手紙を読んで、“天野”として感情露わに慟哭(どうこく)したシーンは、苦しくなるほど真に迫っていた。
そして、「命は平等」だと患者に寄り添う真田を演じた榎木の凛とした佇まいも際立った。学会で弟子の天野について話題になったときに、必死でかばう真っ直ぐさ。気力をなくしてバイクで事故を起こしてしまった天野をオペで救い、「未来は彼に託すとしよう」と妻につぶやくまで、医師としての誇りを感じさせた。
エースが患者を選ぶ基準「生き延びる価値はあるのか」につながるエピソードで、三者三様に見応えある演技を披露した第8話だったが、ラストでは闇医者チームに警察が迫る様子が描かれた。そのなかで副総監・高城の役で姿を見せたのが、沢村一樹。クライマックスへと物語が進んで行くなかでの沢村の活躍にも大いに注目したい。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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