中田青渚&木全翔也は「人生のこの時期にしかないパワーを日々現場で見せてくれる」
――番組公式SNSでは若者二人を演じる中田青渚さん、木全翔也さんのオフショットなどがたくさん公開されていますが、お二人の現場での様子はいかがですか。
あの二人は若さがあふれているというか。現場行ってパッと見たら、いつも二人がシーンに出てくる食べ物とか、誰かの差し入れで置いてあるお菓子とか、何かしら食べてるんですよ(笑)。それくらい元気ですし、二人は二人で和気あいあいと喋っていて、役柄の「幼なじみ感」が普段から出ています。
年齢的には二人とも高校生よりちょっと上なんですけど、見ていて「若さってこういうことなんだな」っていうのは感じます。シーンとしてもそれは出ているんですけど、あの時期にしか持っていない、本人も意識していないようなパワーってあるじゃないですか。僕らには取り戻せないような何かを、日々現場で見ているだけで楽しくなりますね。
きっかけは「外部の人と一緒にドラマを作ったらどんな作品ができるだろう」という思い
――山本さんはNHKで長らくドラマ制作に関わっておられた中で、2022年に読売テレビに転職されましたが、ドラマでも拓郎が転職を意識するシーンが出てきます。拓郎は「現場へのこだわり」から転職を考え始めますが、山本さんご自身が転職を決意されたきっかけはどういったことだったのでしょうか。
僕はNHKに入社してからずっとドラマの現場にいたのですが、一時期違う部署にいた時期がありまして。それまでは「ドラマを作ることが自分の仕事だ」と思っていたんですが、初めてドラマではない部署に異動した時に「そうじゃない人生もあるのかな」ということを意識しはじめました。
それから、コロナ禍になって半年くらいやることが無くなった時期があって、その時にもふと「ずっと同じ場所にいる必要もないのかもしれない」と感じました。
あと、NHKでドラマを作っていると、ほぼほぼNHKの中にいる人だけで番組が作れてしまうんです。外部の方もいるんですが、そういう方も気持ち的にはNHKの中の人って感じなので、「この人がこう思っているな」っていうことが大体わかってくるんです。番組を作る上でも、「この座組ならこういう形になるな」というのも想像がついて、実際そこから大きくは外れないんです。
もちろんそれは良いことでもあるんですが、そうではない形で、全然違うことを考えている人たちと仕事をした時にどうなるのかなと考え始めていて。そんな中で、「NHK以外のところで仕事をするのもアリなのかな」と思っていたら、ちょうど読売テレビの募集があるのを見つけて応募したような感じです。
その時は本当に「ふと」というか、「応募してみた」くらいの感覚だったのですが、面接が進むにつれて「これ、通ったら本当にNHKを辞めるのか?」と自問自答しながら帰っていました。採用が決まった時に、そんなに覚悟を持って臨んだわけではなかったんですけど、転機というかチャンスというか、自分にとっての良いきっかけになるんじゃないかと思って決断しました。
「外部の人と一緒にドラマを作ったらどんな作品ができるだろう」という思いは根っこにあったと思うんですが、辞めるのを決意する時ってこんなにあっさりしてるんだと自分でも驚きました(笑)。自分が思っているよりも事がすごいスピードで進んでいくので戸惑いはありましたが、それ以上にワクワクしている感じはありましたね。
――今「NHK時代はほぼ内部のスタッフだけでドラマを作っている」というお話もありましたが、現場の進め方などの部分で「違い」を感じた点があれば教えてください。
助監督の役割分担とか細かな違いはありましたが、ドラマ制作という部分ではそんなに大きな違いはなかったです。あとは「違う価値観の人がたくさんいる」という、先ほどお話しした通りまさにそれを求めて入ってきた部分ですね。
例えばある提案をされた時に、「自分はそれが良いのかよくわからないけど、それを良いと考えている人がたくさんいる」という状況は、NHKにいた頃はあんまりなかったんです。なので、そこは新鮮に感じました。
それから、ちょっと下世話な話かもしれませんが、NHKってCMが入らないじゃないですか。視聴者の皆さんに見てもらうために、CM前とCM明けをどう見せるかとか、PRの仕方をどうするとか、その辺りの感覚もNHKにいた頃はほとんど無かったので新鮮でした。「こういう風にものを考えるんだ」というか。