『ウマ娘 プリティーダービー』『アイカツスターズ!』『ラブライブ！虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』などの人気作品へ次々に出演し、芝居にステージに、幅広く活躍を繰り広げる声優・前田佳織里が、待望の自身名義での音楽活動をスタートする。3月15日にリリースされた1st EPのタイトルは、『未完成STAR』。初のアニメタイアップ担当楽曲を含む全4曲は、いずれも「表現者・前田佳織里」のパーソナリティを映し出した佳曲たちだ。音楽活動、そして『未完成STAR』にたどり着くまで、前田佳織里はどのように歩みを進めてきたのか――声優や音楽を志すことになったルーツから青春時代、そして現在に至るまでを語り尽くした超ロング・インタビュー、第3回で話してくれたのはガールズバンド結成に至るエピソードと「夢」の話だ。
Aqua Timezさんの“決意の朝に”が本当に好きで、繰り返しずっと聴いて、勇気づけられました。今でも好きな曲です
――小学校や中学校くらいの頃、前田さんにとって歌や音楽はどんな存在だったんですか。
前田：小学校のときは、まだそんなに音楽に触れていなかったです。みんなが聴く曲は聴いていました。あとは毎週「ミュージックステーション」を見てわ〜って盛り上がったりしてました。わたしの小学校のときって、浜崎あゆみさんとか倖田來未さんとか、伝説の歌姫の方々がたくさんいらっしゃって、音楽番組を家族で見るくらいでしたね。
――博物館の学芸員が夢だった。
前田：はい。「ナイト ミュージアム」面白いなあって(笑)。あと、映画「ブレイブ ストーリー」がとっても好きでした。当時、Aqua Timezさんの“決意の朝に”っていう曲が本当に好きで、繰り返しずっと聴いて、勇気づけられたりしてました。今でも好きな曲です。それまではちょっと明るい曲、自分が好きな系統だと思っていた曲しか聴いてこなかったんですけど、Aqua Timezさんの“決意の朝に”はシットリとしたメロディで、そういう曲を好きになったのは初めてでした。「自分はこんな曲が好きなんだ！」って、楽曲を通じて初めて知った体験だったかもしれないです。
――高校のときはガールズバンドをやっていたということですが、バンドをやろう、音楽がやりたいっていう思いに至ったのは、どういう流れだったんですか。
前田：本当に、とりとめもないというか、シンプルな話なんですけど、単純にカラオケにハマったんです(笑)。中学のときに初めてウォークマンをもらって、「こんなに音楽が聴けるの楽しい」ってなって。当時はボーカロイドとかも出てきたタイミングで、そのあたりからたくさん音楽を聴くようになって、その影響でカラオケにも行くようになって。歌うことが好きだなって、改めて漠然と考えるようになりました。
高校の時に部活動を一緒に見学していた女の子とたまたますごく仲良くなったんですが、その子が「わたし、実はバンドやりたいんだよね。お兄ちゃんがギターやってるんだ」みたいな話で、「えっ？わたしも歌いたいと思ってた。じゃあバンド組む？」っていう奇跡のような流れで始まりました。そのギターの子は、性格的にも正反対だったんですけど、なんか気が合うなってそのときに思って。
で、同じ学年の子でいろいろ聞いて回ったら、吹奏楽でドラムをやってた女の子がいると。その子に猛アタックしたら「いいよ～」って言ってくれて、ドラムが見つかりました。ベースの子は他校の子だったんですけど、小学校のときに同じ塾で、「ちょっとベースやらん？」って言ったら「あっ、いいよ」って。軽音部に入ってるって噂を聞いたので、その子のところまで行って話をして、ガールズバンドを組みました。メンバーが順調に見つかって、ほんと漫画みたいな話なんですけど。
――確かに(笑)。
前田：1巻ずつ、人が増えていく、みたいな(笑)。全員、性格も全然違っていて、楽しかったですね。
――ギターの子と正反対だった、という話ですけど、その頃は自分がどんな性格だと思ってたんですか。
前田：「面白いヤツ」だとは言われてたんですけど、外に出て遊びに行くというよりは、アニメとか漫画とかが好きになったので、その名残で家で漫画を読んでいたいタイプになってました。でも、高校でそういう出会いがあって、その子たちがすごくアグレッシブな子たちだったので、ちょっと矛盾した話にもなるかもしれないですけど、陰と陽の性質を両方持っていた感じだったと思います。
ELLE GARDENさんに初めて触れたときの衝撃が、ハンパじゃなかった
――バンドではボーカルを担当していた。
前田：そうです。
――高校のとき、学校が遠くて1時間半かけて通っていた、ということですが。
前田：め〜っちゃ遠かったです。
――学校から帰るときにずっと音楽を聴いていたんですよね。当時の前田さんの感性に訴えかけてきた曲やミュージシャンについて聞かせてください。
前田：チャットモンチーさんとELLE GARDENさんです！ギターの子が「前田、これいいよ。聴きな」ってお薦めしてくれたのが、そのふたつのバンドでした。チャットモンチーさんはよくカバーさせてもらっていて。ELLE GARDENさんは、それまでボーカロイドばかり聴いてた自分の中で、初めて触れたときの衝撃がハンパじゃなくて。「えっ？ この曲、めっちゃカッコいい。英語うまっ！」みたいな。で、とっても好きになって1日4時間くらいループしてずっと聴いてました。それからずっと聴くようになったし、バンドメンバーは自分の中の音楽観を変えてくれて、すごく影響を受けたと思います。
――ELLE GARDENは、とにかくカッコいいから好きだった。
前田：カッコいいし、細美武士さんの人柄もとっても素敵だと思います。“風の日”っていう曲があって、サビの歌詞がすごくいいんです。いろんなことを肯定してくれる歌詞が好きです。テンポが速いし盛り上がるんですが、聴いているとなんか落ち着く、なんか胸が熱くなると感じました。
2017年、声優デビュー。代表作に、TVアニメ『アイカツスターズ！』『ウマ娘 プリティーダービー』『ラブライブ！虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』など。4曲入りの1st EP『未完成STAR』より、自身名義の音楽活動をスタート。
https://twitter.com/kaor1n_n
ディーエムエムミュージックアストロボイス
発売日： 2023/03/15
