風間俊介、八乙女光、上戸彩らが魂の熱演 伝説のドラマ「3年B組金八先生」の名シーンを振り返り
武田鉄矢主演の名作ドラマ「3年B組金八先生」(TBS系)シリーズが、第1シリーズから全8シリーズ&スペシャルの全185話を毎日1話ずつ民放公式テレビ配信サービス・TVerとTBS FREEにて無料配信中だ。本作は1979年から2011年までの32年間にわたってTBSで放送された学園ドラマの金字塔。東京・下町の中学校を舞台に、武田演じる熱血国語教師の坂本金八が様々な問題を抱える生徒と真正面から向き合い、進むべき道を照らしていく姿が描かれた。
全8シリーズと12のスペシャル回を合わせた全185話が無料配信されるのは今回が初。現在も各界で活躍する著名人たちが3年B組の生徒を演じた本作の名場面を振り返っていきたい。
どんな生徒も見捨てない金八先生の原点
二度の石油危機に見舞われ、終焉を迎えた日本の高度経済成長期。そして、1980年代に突入した頃に日本で問題となっていたのが、少年少女の非行だ。中学生による校内暴力の嵐が吹き荒れ、それが収まると今度はいじめや家出、不登校など、様々な問題が浮上し始める。
そんな時代を背景に始まった「3年B組金八先生」第1シーズンでは、世田谷の中学校から桜中学に転勤になった金八が当時、現実の教育現場でも起きていた上記の問題に体当たりで立ち向かった。
特に世間に衝撃を与えたのは、中学生の妊娠。「十五歳の母」と題し、6話にわたって生徒の一人である浅井雪乃の妊娠と出産を描いたのだ。この雪乃を演じたのが、今も高い演技力で日本の映像界を支える杉田かおる。さらに、雪乃を妊娠させた同級生の宮沢保をこれまた今も活躍する鶴見辰吾が演じている。中学生の妊娠も当時は珍しいことではなかったが、このセンシティブな話題をテーマに据えたことでテレビ局には批判が殺到したそう。
しかし、毅然とした態度で金八による「愛の公開授業」を描き、命の大切さを説くと世間からの眼差しも変化を見せる。同授業内での「非行であれば非行少年を収容する場所はあるでしょう。しかし、あの二人には行き場すらない。なぜならば、これは非行ではなくて純愛だからです」とその場にいる全員に雪乃と保への理解を求めるシーンが印象的だ。自分の思い通りにならない生徒を見捨てるのではなく、どんな場合でも諦めず、最善の道をともに探る金八。
それは第2シーズンで3年B組に転校してきた加藤優に対しても同じ。加藤は前の学校で数々の問題を起こし、「同じ箱に入っている他のみかんをダメにしないように“腐ったみかん”は排除しなければいけない」という論理で転校させられた、いわば当時の“荒れた中学生”の代表のような生徒だった。そんな加藤は転校初日から乱闘騒ぎを起こし、挙句には前の学校の放送室に立てこもり(そこには彼なりの信念があるのだが)、警察に連行されてしまう。
普通なら諦めてしまいそうなこの状況でも、生徒が間違いを起こした時に間違いだと教えるのが教師だと学校関係者に訴えかける金八。この時、彼が放った「我々はミカンや機械を作ってるんじゃないんです。我々は毎日人間を作ってるんです。人間のふれあいの中で我々は生きているんです!」という台詞はあまりに有名だ。ドラマを見たことはないけど、この台詞は知っているという人も多いのではないだろうか。そこには金八が理想の教師とされる理由が詰まっている。ちなみに加藤を演じた直江喜一は一時芸能界を引退したが、2011年放送の「金八先生ファイナル」に卒業生として出演したことをきっかけに復帰を果たした。