風間俊介、八乙女光、上戸彩らが魂の熱演 伝説のドラマ「3年B組金八先生」の名シーンを振り返り
衝撃だったジャニーズ俳優の演技
本作にはジャニーズ事務所から多数のタレントが生徒役で出演しているのも特徴。第1シリーズには、当時一世を風靡していたたのきんトリオの田原俊彦、野村義男、近藤真彦、第3シリーズにはSMAPの元メンバーで、現在はオートレーサーの森且行、2021年に26年のグループ活動に終止符を打ったV6の長野博、第5シリーズにはKAT-TUNの亀梨和也、第6シリーズにはNEWSの増田貴久、加藤シゲアキらが出演している。中でも視聴者に強烈なインパクトを残したのが、風間俊介とHey! Say! JUMPの八乙女光だ。
今やジャニーズきっての演技派と名高い風間がその片鱗を見せつけたのが、1999年に放送された第5シリーズ。風間演じる兼末健次郎は一見何の問題もない優等生だが、その実、裏では同級生を操って3年B組を学級崩壊に導いていた。のちに明らかになるのは、健次郎が置かれた家庭内での問題だ。両親から溺愛された優等生の兄は家庭内暴力を起こすようになり、大好きだった姉はスキー中の事故で死亡。そんな中で闇を深めていく健次郎の大人も手に負えないほど陰湿さを風間が体現した。穏やかそうに見えて実は闇を抱えている、そんな二面性のある役を演じさせたら右に出るものはいない。本作は、そう言われる俳優・風間俊介の出発点となった。
同シリーズで金八が健次郎に激しいビンタを喰らわせるシーンも衝撃的だが、それ以上に記憶に残っているシーンが第7シリーズに登場する。それは、八乙女演じる丸山しゅうが覚醒剤に手を出し、教室で暴れるシーンだ。しゅうの家庭もまた健次郎と同様に崩壊しており、父親は薬物依存症でしゅうは継母から日常的に暴力を受けていた。そんな中、親友が自殺未遂を図るなど様々な出来事が重なり、自分もまた覚醒剤に手を出してしまったしゅう。次第に薬が手放せなくなり、幻覚に苦しめられるようになるしゅうは教室で奇声を挙げ、暴れまくる。さらには喉が渇いたと、床にこぼれた水を舐める八乙女の壮絶な演技に言葉を失った。後にも先にもあんなに唖然とする衝撃的なシーンとは出会っていない。その後、しゅうを抱きしめながら、「しゅうはいいやつだったでしょう? 」「そのいいやつがこうなっちゃんだぞー!よく見とけー!」「ドラッグを憎めー!」と涙ながらに訴える金八の姿も世間の感動をさらった。
あの国民的女優も輩出した
一方、本作は多数の名女優も世に送り出している。例えば、第6シリーズでは上戸彩が当時まだドラマで描かれることが少なかった性同一性障害の生徒・鶴本直を演じ、大きな反響を呼んだ。第一話で転校生として3年B組やってきた直。その整った顔立ちと凛とした佇まいが観るものに衝撃を与えた。今や国民的女優となった上戸だが、当時から凄まじいオーラを放っていたのである。演技力も頭一つ抜けており、心は男性であるにもかかわらず、女性の体つきをしている自分に対する嫌悪感や本当の自分になろうとする直のもがきを全身全霊で表現した。彼女の熱演が、世間が性同一性障害への理解を深めるきっかけになったことは間違いない。
今年ますます活躍が期待される女優たちも多数出演している。現在放送中のドラマ「unknown」 (毎週火曜夜9:00-9:54、テレビ朝日系)で主演を務める高畑充希は第8シリーズで彼氏と駆け落ちする優等生を演じた。さらに同シリーズには、近年はハリウッドに活躍の場を移し、5月4日より独占配信となるNetflixシリーズ「サンクチュアリ -聖域-」でも重要な役を務める忽那汐里も帰国子女役で出演している。
2011年3月に放送された「金八先生ファイナル」には最後の生徒の一人として、2023年度後期放送予定のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」でヒロインを務める趣里が登場。当時、趣里はすでに成人を迎えていたが、まさかの金八に恋する生徒役で初々しさの残る愛らしい演技を見せている。ぜひTVer、TBS FREEでの無料配信で今も色褪せぬ名場面、名演技の数々をおさらいしてほしい。