俳優、声優、YouTuberとして幅広いフィールドで活躍中の染谷俊之の魅力に迫るWEBザテレビジョンの連載「月刊染谷WEBマガジン」。毎月、深掘りインタビューを敢行し、仕事の近況からプライベートまで、事務所NGギリギリの質問をぶつけて“染様(染谷俊之の愛称)”を丸裸にします。第16回のテーマは「B級映画」。“ゾンビ”や“サメ”など、B級映画好きを公言する染谷さんに、2022年から今年にかけて見た作品の中からベスト5を選んでもらいました。
4・5位はB級のド定番・サメ映画がランクイン!
──これまで本連載では、「B級サメ映画(第5回)」、「ゾンビ映画(第6回)」について熱く語ってもらいました。今回は広くくくって「B級映画」です。どんな基準で選んだのでしょうか?
以前、映画をテーマにお話ししてから、けっこう時間が経ちました。その間にもいろいろな作品を見たので、また語りたくなりました(笑)。そこでこれまでに見た作品の中から、独断でベスト5を選ばせていただきました!
──ニコニコチャンネル「月刊染谷マガジン」(毎月1回配信)でも、B級映画コーナーを設けるなど、B級映画好きである染谷さんがどんな作品を選んだのか興味深いです。では5位から発表してください。
「シャーケンシュタイン」(2016年・アメリカ)です。最近の作品(DVD版の日本発売が2022年7月)で、簡単に言うと“フランケンシュタインとサメが合体したバケモノが暴れる”話です。大きさは本マグロくらいで、最初は「わりと小さいな」と思っていたんですが、途中から手が生えてくるんです。
──サメに手を付けるとは、まさにB級らしい発想ですね(笑)。ツッコミどころは?
雷が落ちて、にゅっにゅっと手が生えてくるシーンもそうなんですが、全体的に描き方が雑。シャーケンシュタインに一度食べられた人間が、その後の別のシーンでなぜか生き返ってたりもするんですよ。同じ人がエキストラ1と2を兼用しているみたいな(笑)。そもそも主要な登場人物が、薄汚いおじさん2人とそこそこ綺麗なお姉さんというバランスの悪さ。「この3人は一体どういう関係なんだ?」と思わずツッコミましたね。お姉さんはけっこう大きめなタトゥーが入っているんですが、海のシーンでも絶対水着にならないんです。そこに彼女の強い意志を感じました(笑)。
──5位に選んだポイントは?
正直、ストレス解消にもならないし、見ていて疲れる作品でした。でもそこがB級映画らしいというか、思わずツッコミたくなるシーンが多かった点を評価しました。
【染谷’s 3ツ星チェック】
ストーリー:★☆☆
ハラハラドキドキ度:★☆☆
スッキリ爽快度:★☆☆
ツッコミ度:★★★
──次に4位は?
5位に続いてサメ映画なんですが、「サメデター」(2021年・アメリカ)です。タイトルを聞くと、サメとプレデター(架空の地球外生命体)が合体したモンスターを想像すると思いますが、でも違うんですよ。
──気になりますね!どんなストーリーですか?
アメリカ・カリフォルニア州のビーチで連続して人が襲われる事件が発生して、サメを研究する博士が調査に乗り出すんです。そうしたらサメのDNAに異常性が見つかって、その後どうなるのか…という内容です。
──B級には珍しく、ストーリーがけっこうしっかりしていそうですね。
そんなことは全然ないです(笑)。サメとプレデターが合わさった作品だったらいいなと思って見たんですが、そうした要素は一切ありません。そもそもサメが全然出てこない! 主人公が誰なのかも分からないまま話が進んでいくんですよ。そして一番のツッコミどころが、作品の紹介文に「近年では珍しく、サメが海に出没する!」みたいな文言が書かれていたこと。「いや、海でサメが出るのは当たり前だろ!」って(笑)。“最近は陸に上がるサメ映画が多かったので、海に出るのが珍しい”と言われちゃうところがツボでしたね。
──サメ映画なのに、サメがなかなか出てこないとはどういうことですか?
サメが人を襲うシーンは、やっぱりお金が掛かるからじゃないですかね。なので人が襲われている風のカットや、襲われた後のカットで終始お茶を濁していました。
──B級映画あるあるですね(笑)。そんな中で4位に選んだ理由は?
ほんと意味不明なB級感。ビーチのシーンが多いのですが、たぶんスタッフが海に行きたかっただけなんでしょうね(笑)。あと、ラストがとにかく衝撃的。ネタバレになっちゃうので言えませんが、マジでヤバいです。
【染谷’s 3ツ星チェック】
ストーリー:★☆☆
ハラハラドキドキ度:★☆☆
スッキリ爽快度:★☆☆
ツッコミ度:★★★
3位は感動巨編(?)、2位はツッコミどころ満載のアクション
──続いて3位の発表をお願いします。
「セミマゲドン」(2018年・アメリカ)。これもなかなか衝撃的な作品でした。
──セミとアルマゲドンの造語(苦笑)。どういったストーリーでしょうか?
ロサンゼルスの公園で、木を伐採しようとして農薬を散布するんですが、それを吸ったセミが巨大化して人を襲う話です。魚のカツオくらいの大きさで、しかも大群で襲ってくるんで、かなり気持ち悪いです。そのセミに体液を吸われた人間は、頭がパーンっと破裂して死んでしまう。そんな巨大セミを、元メジャーリーガーの主人公・ジョニーがバットで叩き殺していきます。人類対セミの最終戦争。まさに「セミマゲドン」です(笑)。
──印象に残っているツッコミシーンは?
ジョニーが野球場のバッターボックスに立って、飛んで来るセミをバットで打ち返すんです。それがホームランになって、「やったー!」となぜかベースを一周するシーン(笑)。でもホームベースに到達したところで、他のセミに襲われてバラバラになって死んでしまうんです。
──えっ、ネタバレ!? しかもジョニーは主人公ですよね? 途中で死ぬんですか?
そうなんです。そのあとはジョニーの恋人だったシンディが、今度はランディという男とくっつきます。それでラストは…、どうなったか記憶が曖昧なんです。見ても時間が少し経つと結末を忘れてしまうところも、B級映画あるあるです(笑)。
──結末をはっきり覚えていないのに3位に選んだポイントは?
CGのほかに、人形をうまく使っていて、昭和の怪獣映画を見ているような気分になれたところ。B級映画好きの人が見たら、けっこう楽しめると思ったので3位に選びました。
【染谷’s 3ツ星チェック】
ストーリー:★★☆
ハラハラドキドキ度:★☆☆
スッキリ爽快度:★★☆
ツッコミ度:★★☆
──残り2作品です。それでは2位を教えてください。
「必殺!恐竜神父」(2018年・アメリカ)です。すごく真面目な神父さんが主人公なんですが、目の前の自動車爆発事故で両親を亡くして、傷ついた心のまま中国を旅するんです。その道中、山で忍者に襲われて、謎の女性から恐竜の化石を渡されるんですが、それが人間を恐竜に変身させる牙だったというストーリーです。僕も説明していて、何を言っているんだか訳が分かりません(笑)。
──タイトルからして“ザ・B級”ですね。思う存分ツッコんでください!
まず両親が亡くなる爆発シーンですが、映像じゃなくて「カー・オブ・ファイヤ-」という字幕がただ出るだけ。爆発させる予算がなかったんでしょうね。あと、敵は中国の忍者学校という設定。「忍者は日本じゃないんかい!」って(笑)。しかも学校といっても建物がなくて、公園みたいなところに生徒が2人ぐらいしかいない。そもそも神父が恐竜に変身するシーンが描かれていない。これも予算上の都合なんでしょうね。そして極めつきはラストバトル。ついに恐竜神父が登場するんですが、その姿が強烈すぎます。もちろんCGではないし、着ぐるみでもない。「段ボールで頑張って作りました」みたいな紙の工作なんです(爆笑)。
──ツッコミシーンが大渋滞していますね(笑)。そこが2位に選んだ理由ですか?
そうですね。まさにB級感があふれ出ているところです。他の追随を許さない、本当にヤバい作品でかなり上級者向けだと思います。
【染谷’s 3ツ星チェック】
ストーリー:★★☆
ハラハラドキドキ度:★☆☆
スッキリ爽快度:★★☆
ツッコミ度:★★★