映画『忌怪島／きかいじま』が6月16日(金)に全国公開される。『呪怨』『犬鳴村』など数々の大ヒットJホラーを手掛ける清水崇監督が、孤島を舞台に、VR研究チーム“シンセカイ”に襲いかかる怨念の恐怖を描く本作。父の死をきっかけに島を訪れ、主人公・片岡友彦(西畑大吾)と共に連続死の真相を追うヒロイン・園田環を山本美月が演じる。山本にインタビューを行い、ホラー大好きという彼女が感じた『忌怪島』の魅力や、西畑をはじめとした共演者との裏話、そして30代を迎えライフステージの変化をふまえた 自身の在り方について語ってもらった。
演じたヒロイン・環は「だいぶ幸の薄い子」
――『忌怪島』はVR研究チームに次々と降りかかる不可解な謎と死を描く、一味変わったホラー作品です。台本を読んだ印象は？
準備稿の段階から読ませていただいたんですけど、人間関係のどろっとした部分や閉ざされた島ならではの恐怖など、お化けの怖さじゃない部分も描かれていたのが印象的で。私はもともとホラーが好きで、清水崇監督の『犬鳴村』や『樹海村』も観ていたので、この作品に参加したいなと思いました。しかも奄美大島にも行けるということで、ぜひ行ってみたいなと(笑)。
――楽しみにされていた奄美大島での撮影はいかがでしたか？
奄美、すごく気持ちいい場所でした。神様が舞い降りた場所と言われていますけど、「すごくわかる！」と思って。私は霊感もないし、神社とかパワースポットでパワーを感じられないタイプなんですけど(笑)、それでも「“気”がいいってこういうことなんだ！」って思えるような場所で。最初に奄美で撮影をして、そのあとは東京近郊にセットを組んで撮ったんですけど、みんな「奄美すごいよかったー！」「奄美に帰りたい！」って言ってました(笑)。
――本作で演じられたヒロイン・環の印象は？
「だいぶ幸の薄い子だなあ」という印象でした。決定稿になるにつれて、削られていく部分もあったのですが、描かれていない設定を清水監督が紙に書いてくださって。なぜ1人で島に来ようと思ったのかとか、もともと住んでいた場所でどういう人生を歩んでいたかとか。それを見て、役を作っていきました。登場人物もいっぱいいて、描写もそんなに多いわけじゃないので、その紙が役に立ちましたね。
――環と自分が重なる部分はありましたか？
彼女の背景を知ってる私としては、全然似てないなという印象ですね(笑)。自分と全然違うぶん、友彦(なにわ男子・西畑大吾演じる主人公の片岡友彦)に対する感覚を理解するのがちょっと難しかったです。例えば「今この言葉をこのテンションでかけるときって、どういうふうに考えてるんだろう」とか。友彦と仲良くなって、距離を詰めていくシーンを演じるのが一番難しかったですね。
主演のなにわ男子・西畑大吾の印象は「人だな」
――友彦役の西畑さんの印象はいかがでしたか？
最初はアイドルということもあり、いつもニコニコされている印象だったんですけど、わりと素を出してくれるというか。かわいいところだけじゃなくて、ちょっとドジな一面も見れたり、なんだろう……「人だな」って(笑)。かわいらしいキャラクターっぽさと共に、ちゃんと人間の部分があるんだなと思って、安心しました。例えば、朝はすごーく弱いんだなとか。いつも朝イチは寝癖がすごい印象がありましたね(笑)。つらそうでした。
――お芝居は、対峙してみていかがでしたか？
楽しくできました。この言い方が正しいのかわかりませんが、すっごい完璧すぎるわけでもなくて、そこがやりやすかったです。西畑くんは難しいセリフがいっぱいあったので、「大変だね〜」って話してました(笑)。待ち時間には、共演者同士で喋ることが多かったのですが、わりとみんな同世代なので盛り上がってました。平岡さんだけちょっと上なんですけど……平岡さんも同い年みたいな感じではしゃいでくれました(笑)。
――楽しそうな現場ですね。
すごく和やかでした。あと、平岡さんが撮影の日がなぜかいつも雨で、(共演者の中でも)最初の方に入ってたのに、結局最後の方まで撮影してて。みんな「平岡さんが悪いんじゃないか」「平岡さんに何かが憑いてる」ってなって、塩振ってましたね。みんなひと振り、みたいな感じで(笑)。
――(笑)。清水監督とは、どんなやりとりがありましたか？
清水監督ともベースでいろんなお話をさせていただきました。心霊スポットに行った話とか、奥様の話とか。ホラーの監督って、怖がりな監督と怖がりじゃない監督がいるんですけど、清水監督はまったく怖がりじゃないらしくて。怖いって感情がなくても、怖いものって作れるんだなと思いました(笑)。本当に優しい方なので、撮影中は平和でしたね。殺伐とすることもなく、誰も怒らず。心地いい“奄美時間”でした(笑)。
――演出に関して印象に残っていることは？
怖がるシーンで「もう少しこっちの気配を感じて」とか、目で見えない部分のお芝居というか……“感じるものを足す”という演出をされていました。例えば紐が動いているシーンで、どのぐらいの間を持つか、紐を見るだけじゃなくて、目で紐をたどっていくとか。そういう繊細な、ホラーならではの演出が印象的でした。
