オープンセットの規模感は「数年に一度しかない」
――オープンセットを作るまでにかかった時間や、こだわりがあれば教えてください。
野中謙一郎(以下、野中):オープンセットは約1か月かけて作っています。本来もっと時間かけて作るものなので、「1か月でよくできたな」というのが僕の正直な感想です。
特にこだわったのは、コケや岩の部分。それはなぜかというと、今作の設定はSF要素が多いので、映るものにリアリティがないと視聴者の方々もさめるんじゃないか思ったんです。なので、今回はリアリティのあるものを取り入れながらオープンセットを作りました。
外装はうちで作っていますが、車両自体やパーツもお借りできてリアルなものも使えたので、なるべく本物に似せるためにこだわってやっています。特に車両上のパンタグラフ近くにある碍子等は結構リアルなものを再現しているのでぜひ注目してほしいです。
――ちなみにオープンセットの規模感はどのくらいなのでしょうか?
野中:200坪くらいですかね。
二見:そうですね。ですが、僕らが手を加えたところが200坪なだけであって、実は緑山の木が生えている山のような場所も使っているんです。なので、そこも入れると600~800坪くらいになるかもしれません。
――ここまでの規模感はお二人もあまり経験したことがないのでしょうか?
野中:そうですね。テレビドラマでは数年に一度ぐらいでしょうか。
二見:僕が携わった作品で緑山にオープンセットを建てたのは「天皇の料理番」(2015年、TBS系)以来です。野中さんも「この世界の片隅に」(2018年、TBS系)以来ですかね。ここまでの規模は数年に一度しかないと思います。
――今作では登場人物たちがサバイバル生活をしていますが、サバイバル生活をしているがゆえに意識したことはありますか?
二見:細かいところですと、よくドラマに登場しているたいまつって木の棒にタオル巻いて火をつけても、油が染みていないとすぐに燃え尽きちゃうじゃないですか。
でも、SFの世界で「油なんか誰が持ってるんだ」という話になると思い、サバイバル監修の方と話して、車輪にグリスが塗ってあると。なので、我々が3Dデータで作った車輪にグリスをかけて、そこからぬぐいとるっていうカットを実は最初に入れ込んでいるんです。それがあることによって、SFの世界の中に油の染み込んだたいまつが出てきたという流れになっています。
――では、実際に映像で見て「これはすごく効果的になったな」と感じるセットや小道具があれば教えてください。
二見:よく焚火をたいて話しているシーンがあると思うんですが、電車方向を撮ると真後ろに昔の鉄骨のなごりみたいなものが映るんです。それが荒廃した未来とか、文明が崩壊したとか、いろんな物事を表していて。それがすごく効果的になっているんじゃないかなと思います。
野中:オープンセットに関していえば、レイアウトですね。建て込みの時に現場につきっきりでいたのですが、「そこはやっぱりこうじゃない」とか結構を時間かけて建て込みしたので、一番美しく車両が撮れるポイントとかはうまくいったんじゃないかなと思います。
https://www.paravi.jp/watch/111494
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東京ニュース通信社
発売日: 2023/04/21