ユニットコンビ「たりないふたり」として数々の漫才を生み出した、オードリー・若林正恭と南海キャンディーズ・山里亮太の半生を基にしたドラマ「だが、情熱はある」(毎週日曜夜10:30-11:25、日本テレビ系)。6月18日放送の第11話で、若林(高橋海人)は、祖母(白石加代子)、父(光石研)、そして恩人的存在だった芸人の谷(藤井隆)…と大切な人たちと次々に永遠の別れを経験することとなった。(以下、ネタバレを含みます)
大好きなおばあちゃんとの別れ
このドラマは、若林と山里の半生を基にした“ほぼ実話”の青春サバイバルストーリー。“極度に人見知りな超ひねくれ男”(若林)と、“妬み嫉みの固まり男”(山里)、そんなたりない二人の友情物語でもないし成功物語でもないが、もがきながらも“情熱はある”人生を描いていく。
2010年、若林は雑誌「ダ・ヴィンチ」でエッセーの連載を始める。改めて自分を見つめ直す機会と捉えて執筆に精を出し、着眼点や文才が評判になる中、祖母が亡くなる。20代の半ばに二人きりで暮らし、売れずにもがく若林を応援してくれて、とがってひねくれていた彼が、唯一優しくなれた存在だった。老人ホームに入ってからも、若林のテレビ出演スケジュールを書いた紙と雑誌の切り抜きを壁に貼っていた祖母。その中に、孫と間違えて堂本光一の写真を貼っていた、大好きだったおばあちゃんが亡くなった…。
おばあちゃんと若林のシーンは、毎回視聴者をほっこりさせ、「2人のシーン、ほっとして好き」「若さんのおばあちゃん、いいなぁ」と、視聴者もおばあちゃんが大好きだっただけに、哀しみのコメントがTwitterに並んでいた。
父の入院先から仕事に向かっていた若林
そして2016年。前年から肺を患って入院していた父親が亡くなった。広島風お好み焼きのそば抜きを店で無理やり作らせたり、何度も職を変えたり…と破天荒だった父。オードリーが売れるまでは衝突することも多かったが、「M-1」で準優勝をしてからは応援してくれ、親子仲も改善した。父の入院以来、若林は誰にも言わずに、仕事の前後に病室の父を訪ねる生活を1年ほど続けた。
ある日、父がソフトクリームを食べたいと言い出し、若林は買って渡した。おいしそうに食べる父は「ソフトクリームでいいんだ」と言った息子に対して、「ソフトクリーム“が”いいんだよ」と言った。そして、「“うまそう”より“うめぇ”なんだよ、人生は」とつぶやいた。若林は、安いソフトクリームで幸せを感じている父親を見て、「あれも嫌、これも嫌、それはダサい、恥ずかしい」と物事を斜めから見ているのはもったいないのかな…と考えるようになった。
ある日、許可をもらって外出をした若林と父。食事をすることになり、「パスタでも食おうかな」と言った息子に、「“パスタ”って言えてるじゃねーかよ」とツッコんだ。若林はエッセーに「“パスタ”と言うのが恥ずかしい」と書いたことがある。父は、息子の本を「まだ読んでない」と言い続けていたが、ちゃんと読んでいたのだ。
若林は父に尋ねてみた。「今、幸せ?」。「今は、死にたくない、と思うぐらい幸せかなぁ」との父の答えに涙が溢れてきた若林。父はそんな彼に「感情を出すな。死ぬぞ」と、幼少期にヤブ医者に言われたインチキな警告を持ち出すのだった。
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発売日: 2023/06/21