テレビ大好きイラストレーター・渡辺裕子さんが、お気に入りの番組をかわいいイラストで紹介する連載「いつもテレビをみています」。第12回は「まつもtoなかい」(毎週日曜夜21:00~21:54、フジテレビ系)をチョイス。
明るいふたりがすてきなゲストと繰り広げる極上のエンターテイメント
今、テレビ司会者としてトップクラスの人気を誇る松本人志さんと中居正広さん。このふたりがMCとしてタッグを組む「まつもtoなかい」、よくこの組み合わせを思い付いたなと思うし、実現させたのもすごいですよね。
そして司会だけでなく、やってくるゲストも毎週豪華。毎回おもしろいですが、レギュラーになって最初の回の香取慎吾さんとか、伊藤英明さんと佐久間宣行さんの回が特に印象に残っています。
明るいふたりがすてきなゲストとおしゃべりを繰り広げる、極上のエンターテイメント番組なんですが、ふたりが待つ部屋へ入ってくるゲストたちは「楽しみだー」という笑顔ではなく、みな緊張した面持ち。芸能人やスポーツ選手など、テレビなど人前で話をすることには慣れているはずの人たちなのに。でも、その気持ち、少しわかる気がします。松っちゃんも中居さんも、とても優しい人だと思うんだけど、どこか、ニコニコ笑顔でいつの間にか相手を丸裸にしてしまうようなするどさがある。「彼らの前では隠し事はできないぞ、それでもここで自分は話をするのだ、だってこのふたりに呼んでもらったんだから」みたいな覚悟がゲストの人たちの表情から見えて、テレビのこちらにいる私もちょっと背筋が伸びて、しっかり話を聞かせてもらおうという気持ちになる。緊張って、悪いことばかりじゃないですよね。
「もっとこの人たちの話を聞きたい」ちょうどいいバランス
呼ばれるゲストの組み合わせも意外なものが多く、そのマッチングの絶妙さと緊張感にMCふたりの軽妙なトークが混ざり合い、不思議な化学反応のようなものが起こって会話がどんどん思わぬ方向へ飛んでいき、置いていかれないようにと夢中で話を聞いているうちにあっという間にトークコーナーは終わってしまう。後半のパフォーマンスコーナーも楽しくて、ああ時間が足らないなあと思うけれど、でもこの「楽しかったし、それだけじゃなくて今回すごくいいこと言っていた気がする、もっとこの人たちの話を聞きたい」くらいがちょうどいいのかも、とも思います。
■イラスト・文/渡辺裕子