岡田准一、織田信長の最期のシーンについて語る「最期に思い出すのはやはり家康だった」<どうする家康>
松本潤が主演を務める大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)の第28回「本能寺の変」が、7月23日に放送された。同ドラマで、織田信長を演じた岡田准一からコメントが届いた。
役としてぶつかり合える瞬間を作りたい
――第27回で安土城で家康と対峙するシーンについてお聞かせください。
織田信長が出てくる作品では、本能寺の変が注目されがちですが、今作は違うなと感じています。家康が信長を乗り越えて自分の歩むべき道をはっきりと見つける、第27回のラストの安土城で家康と対峙するシーンの方が重要だと思っていました。そして個人的な裏テーマとしても、真面目な松本くんが殻を破って自分なりの家康像を見つけられるよう、最後のお手伝いとして、どんな背中を見せられるかということも考えていました。
初めて経験したのは大河ドラマ「軍師官兵衛」の頃なのですが、時々芝居を通して演じている自分自身も傷つくことがあります。2、3日経っても心が泣いていて、回復できないことがあるんです。それはせりふや段取りを意識していると得られないですし、大河ドラマの様に1年以上かけて役と向き合うからこそ味わえる、役者をやる上でのご褒美だと思っています。そんな感覚を第27回のこのシーンでも味わいたいし、松本くんにも感じて欲しい。ボロボロになって、せりふも段取りも見栄えも気にせず、役としてぶつかり合える瞬間を作りたい、異様な熱のあるシーンにしたいと思って臨みました。
(家康と対峙するシーンは)今作の集大成という気持ちで演じました
信長は、恐怖で人を従え、全てを強引に覆そうとしてきました。多くの人を殺めてきたし、物事を早く変えようとしてきた人。信長としても苦しさはあったでしょうが、強靱な精神を持ち、覚悟を決めて、突き進んできたと思います。家臣たちのことも競わせながら育てる側面があり、人を育てるのは上手い。でも、そのやり方は反発をうみ、裏切られることもある。そして自分の死後、再び争いが生じて結局乱世に逆戻りしてしまう。
後に太平の世を築く家康に“あなたのやり方は身を滅ぼす”と気付きを与え、“違うやり方で世を治める”と固く決意させるきっかけとなるシーン。信長に限界がきていて、実は脆くて壊れるギリギリなのかもしれないと家康に感じさせることが必要で、どう表現するかは悩みましたが、今作の集大成という気持ちで演じました。
このシーンを撮影した数日後、松本くんとスタジオで再会しました。開口一番、「まだ回復しません」と言われたので、それほど心に残るシーンになったのなら良かったですし、信長として家康にバトンを渡し、次のステージに送り出せたのかなと安堵したのを覚えています。