蓮は苑子に「プライベートで会ったことは?」と詰問される
苑子に「お父様にはフランスに留学させたと伺ったけど。病院を継がせる気はないからと」と言われ、「高校を卒業して、こちらに就職したので」と話す蓮。苑子は名刺を見ながら、和真と同じ会社ねと言う。
蓮がそれは偶然だと言おうとする言葉を遮り、苑子は「本当に?」と聞く。蓮がおずおずと「…本当です。たまたま同じ会社で働いてるだけで」と言うと苑子はさらに「プライベートで会ったことは?」と詰問する。「あ、ありません…」と蓮が答えると「早乙女くん、10年前もそう言ってあの子と寝てたんでしょ」と言って立ち上げる。
立ち去ろうとする苑子のショッパーバッグが蓮の目に入る。今朝、同じショッパーから和真がシャツを取り出したのを思い出し、自分が今着ている和真のシャツに目を落とす蓮。苑子は冷たく淡々と「そのシャツ、あなたには似合わない」と言って店を出ていく。
うつむいたままの蓮に10年前のことが蘇る。大人たちに囲まれ、お前を早乙女家の人間として認めるわけにはいかない、君の携帯から30代の男性とのやり取りが見つかった、などさまざまな声を浴びせられる中学時代の蓮。「二度と息子の前に現れないで」と泣きながら訴える苑子の声が響くのだった。
和真との幸せな時間から一転、苑子との偶然の出会いによって自分の立場を突きつけられる蓮。10年前も現在も蓮が痛ましく、見ているだけで辛くて胸が締め付けられた。
※高松アロハの「高」は、正しくは「はしご高」
◆構成・文=牧島史佳