<どうする家康>田辺誠一、穴山梅雪を演じた感想を語る「穴山なりの正義、熱を表現したいと思いました」
「自分が家康だ」と言って討ち取られたと思いたい
――家康に従ってから討たれるまで、短い時間ではありましたが、穴山梅雪という人物の生涯を、田辺さんはどのようにご覧になりましたか。
最後は無念だったと思います。しかしその後、家康が自分の息子に武田を名乗らせて武田家を存続させようとした事を考えると、家康も穴山の決断、気持ちを分かってくれたのかと思いますので、そうだとしたらうれしいです。また個人的には伊賀越えで、瀬名が夢見た泰平の世を作れるであろう家康を守るため、「自分が家康だ」と言って討ち取られたと思いたいです。
印象に残っているシーンは「家康と共に仏像に手を合わせるシーン」
――「どうする家康」の全撮影を通して、印象に残っているシーンを教えてください。
第26回、勝頼と袂を分かち家康側についた直後、勝頼の訃報を聞きます。本編では短くなっていましたが、そこで家康と共に仏像に手を合わせるシーンが印象に残っています。そういった演技プランではなかったのですが、自然と体が震え涙が止まりませんでした。
穴山自身が選んだ道なので後悔してはいけませんが、信玄公の遺志、勝頼への思い、勝頼の無念、さまざまなことが頭をよぎり気持ちが揺さぶられ感情が溢れました。本来は従順を誓った家康の前でそのような感情を出すわけにはいかないのですが、そんな穴山の人間としての感情を、家康も受け入れてくれていると感じました。