コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は『ガレキ！－造形乙女の放課後－』をピックアップ。
サンデーGX(小学館)で連載中の本作は、個人で型取りし少ない数を生産する手作りの模型・ガレージキット、通称“ガレキ”に情熱を注ぐ女子高生たちを描き話題を集めている。漫画家であり作者のヨゲンメさんが6月20日に自身のTwitterに第1話を投稿したところ、7900以上の「いいね」が寄せられ反響を呼んだ。この記事では、自身もガレージキットの製作に励むというヨゲンメさんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
ガレージキットを通して「好き」を形に リアリティを追求した作業シーンも話題
うどん屋の一人娘である源真白は、上の階に新しく入ったある店から出前の注文を受ける。注文の品を届けに訪れると、真っ暗な部屋からガスマスクを装着した美少女・模鳥雛瑚が現れる。その風貌を不思議に思っていた真白だったが、しばらくして食べ終えた器を回収しシンクで洗っていると、アニメ顔をしたフィギュアの顔のパーツが洗い物に紛れ込んでいるのを発見する。
真白が再び店を訪れ、パーツを見つけたことを伝えると目を輝かせホッとした表情を見せる雛瑚。話を聞けば、翌日に開催されるイベントでこれらのガレージキットを販売する予定にも関わらず、ひっくり返して部屋中に散らばったパーツの収集はおろか、塗装などの作業も間に合わず困っているという。
その話を聞いた真白はパーツ探しを手伝うことを申し出る。落ちている部品を一つひとつ順調に集めていく間、雛瑚はフィギュアの原型を複製する作業に専念していた。見慣れない光景と雛瑚の手際の良さ、そしてその真剣な眼差しについ目を奪われてしまう真白。帰宅後も雛瑚のことが気になった真白は、次の日、雛瑚が出店すると聞いた大型イベント「ワンダーフェスティバル」に初めて行ってみることにして…。
未知の世界に初めて足を踏み入れた真白と、自作の“ガレキ”に愛と情熱を注ぐ雛瑚。正反対の二人が出会い、“好き”を形にしていく工程が丁寧に描かれている本作。作者自身がリアリティを追求したという作業風景の1コマ1コマには、ガレキ愛好者だけでなく初心者の読者からも称賛の声が集まり話題となっている。Twitter上では「すごく新鮮で面白い」「未知の世界にワクワクする！」「初心者にもわかりやすい」「ガールミーツガールが最高！」「“なければ作ればいい”の精神、まさに共感できる」などのコメントが寄せられている。
「真白のリアクションがガレージキットを知らない人にその面白さを伝えてくれる」作者・ヨゲンメさんの創作背景とこだわり
――『ガレキ！－造形乙女の放課後－』はどのような発想から生まれたのでしょうか。創作のきっかけや理由があればお教え下さい。
マンガ連載の企画を考えていた時期と ワンダーフェスティバルにディーラー参加したいと画策していた時期が重なったことがきっかけです。自分の好きなガレージキットの世界と高校生の青春を掛け合わすことができればきっと面白い作品ができるだろうな、と。
――うどん屋の一人娘・源真白と“モデラー乙女”の模鳥雛瑚、それぞれのキャラクターや設定はどのように生み出されたのでしょうか？
真白は「スポーティーでボーイッシュな娘がガレージキットを造っていたらかわいいのでは？」という発想からスタートしました。雛瑚はガレージキットは成形色が白色であることが多いので、それをイメージして「白髪の美少女」であることは最初から決めていました。ただ、デザイン段階では雛瑚はもっとクール系だったのですが、いざマンガにしてみるとポンコツ具合がどんどん加速していってしまい、想定よりも庇護欲がかきたてられるキャラになりました。そのおかげでしっかり者の真白との相性はよく、二人の関係性は気に入っています。
――本作では、ガレージキットの組み立てにおいて一つひとつの工程が細かく描かれ、“作品を完成させる”という成功体験が丁寧に描かれているところが印象的です。ヨゲンメさんご自身も実際にガレージキットを組み立てることはあるのでしょうか？
まだまだ経験は浅いのですが、組み立て、造形、複製など、ガレージキットに関わる一通りの作業に触れてきています。トレジャーフェスタオンラインというイベントに版権モノの怪獣のキットを販売したこともあります。連載開始後もマンガのネタのためにガレージキットを購入しているのですが、私生活と仕事の両立が難しくてあまり触れることができず…。ただ、組み立て前のキットの状態でも造形のすごさ、パーツ分割などからディーラーさんの想いは伝わってくるので、触れているだけでもワクワクします。
――本作を描くうえでこだわっている点や「ここを見てほしい」というポイントがありましたらお教えください。
初心者である真白が、ガレージキットに触れたときに感じる新鮮な気持ちをどう描くか、そこに重きを置いています。彼女のリアクションはガレージキットを全く知らない人にその世界の面白さを伝えてくれると思うので。そのために監修と取材先の協力のもと、できるだけ作業風景にはリアリティを持たせるようにしています。
それと同じくらいキャラクター達がまっすぐ交流していく様子にも力を入れているので、彼女たちの仲良し具合にも注目していただければと思います。
――本作の中でヨゲンメさんにとって特に思い入れのあるシーンやセリフはありますか？理由やエピソードと共にお教えください。
第1話の雛瑚の「なければ作ればいいんですよ」というシーンはこの作品の根底を表現しているので、確認する度に身が引き締まる思いがしますね。ツイッター(いまはXですかね？)に第1話をアップした際も、あのシーンを気に入っていただけた方が多かったように思います。
あとは真白の表情が回を重ねるごとにだんだんと柔らかくなっていくように見えて、作者のクセになんだか嬉しいですね。いいお友達ができてよかったね、真白…みたいな。
―― 最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。
どんどんガレージキットの世界にのめりこんでいくキャラクターたちと一緒になって、読者の皆様も青春しているような気持ちになっていただける作品になるよう、頑張ってまいります。よろしくお願いいたします。
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
