2.5次元ならではのやりがいと、エゴサ事情
――お2人は様々な2.5次元作品に出演しつつ、原作のないオリジナル作品でもご活躍されています。演じる上で、2.5次元ならではの面白さはどんなところに感じますか?
立石 2.5次元の面白さは、ミュージカルの好きなところにも通じるんですけど、歌やダンスなどいろんな要素があるところ。あと、お客さんと作品の設定が共有されているから、そこから外れちゃいけないけど、その縛りが作品に更なる面白さを生むということもあって。見た目や声などの制約が多い難しさはもちろんありますが、それをきちんと再現できて、かつそこに僕のリアルな感情が乗ってきたときにすごく面白さを感じます。最初の頃はキャラクターをなぞることしかできなかったのが、自分の真ん中で役をとらえられたときに面白さが出てくる。自分の強みを生かしつつ、新しい自分を発見できるというよさがあります。
佐奈 自分の好きな作品が肉体を持って動いているというのが最高ですよね。『黒執事』も『犬夜叉』もミュージカル『テニスの王子様』も…「僕が!?スゲー!」って、それだけで楽しい。同時に原作を好きな方がたくさんいるので、それをぶち壊すわけにいかないプレッシャーもありますけど。あと、原作を見ながら照らし合わせて、自分に置き換えて役作りをするのが、すごくロジカルな楽しさがあります。そこに少し自分らしさも混ぜてみたものを、観に来てくれたお客さん、僕と同じように原作ファンの方から「キャラそのものだった!佐奈くんが演じてくれてよかった!」って褒めてもらえたときの嬉しさは尋常じゃないです。僕、エゴサ(自分の名前で検索)するタイプなんで (笑)。
――(笑)。
佐奈 僕が気づかなかった視点の感想を見て、「そういう見方もあるんだ!じゃあこうしてみようかな?」ってちょっと変えてみたり。物理的に、観に来てくださる方と一緒に作り上げていくような面白さがあります。
――エゴサって、積極的にされる俳優さんと、演技がブレるからあえてしないという俳優さん、どちらもいらっしゃいますよね。立石さんは、エゴサはされますか?
立石 僕は逆にすごく気にしちゃうタイプなので、見ないようにしてますね。昔はしてたときもあるんですけど、「このシーンでこう言われてたからこうしよう」って雑念が入っちゃうのが嫌で。それなら自分の中の、役としての感情にフォーカスしてやっていこうと思いました。
佐奈 わかる、僕も見たくない感想もあるよ!(笑) でも、そういうのが図星だったりするんですよね(笑)。
――最後に、『天使のはかりごと』の配信を楽しみにされている方へメッセージをお願いします。
立石 ミュージカルが大好きな自分としても、新しい挑戦ができましたし、耳だけで聴いて世界を想像するというのが、聴いて下さる方にとってより身近なものになるんじゃないかと思いました。僕自身、収録で佐奈ちゃんの声を聞いて“後輩”像をその瞬間に組み立てながら世界に入っていったんですけど、視覚がないからこその没入感があって、楽しんでもらえる作品になっていると思います。
佐奈 “言劇ミュージカル”は、皆さんの自由な想像力で楽しめる作品です。普通の舞台はセットがあるけど、今回は好きに考えられるし、僕ら“先輩”と“後輩”の見た目も衣装も、聴いてくれる方が好きに決めていい。皆さんが最後のピースをはめるという楽しさがあります。そして松崎さんが書く物語は深いので、劇中で迫られる選択について自分だったらどうするか考えながら、天使2人の行く末を聴き届けてもらえたらと思います!そして、よろしければ感想をSNSに書いてください!!見に行きます!
■取材・文/WEBザテレビジョン編集部
撮影/友野雄
衣装(立石俊樹)/シューズ 58300円 (Tools And Construction./ロケット・ステュディオ)