番組Pが見た平和すぎる現場の様子
――橋本じゅんさんら消防団メンバーも、中村さんの賢さを称賛していましたが、お会いしたらすぐに分かるほどなのですか?
出会ったらすぐに分かります。梶原(善)さんは、「大した人だな…」と感心されていましたし、口に出す出さないはあると思いますが、皆さんそろって中村さんを尊敬していました(笑)。
何があって今の中村さんになったのかは分かりませんが、それこそ、「ブラッシュアップライフ」(2023年、日本テレビ系)の放送以降、「人生何回目?」という言葉がはやっているかと思うのですが、本当は中村さんの中に人生を何回かやっている人が入っているんじゃないかと思う瞬間が多々あります(笑)。そのくらいに人として余裕のある方ですし、いつも楽しそうに現場で過ごしていました。
――制作側から「こんな太郎にしてほしい」という要望をされたりはしたのでしょうか?
中村さんは台本の読み込みが深いですし、こっちの意図を120%感じてくれています。「俺に求められていることってこれでしょ」という把握能力も天才的なので、何も言っていないです。台本を渡しただけで全て理解しているので、中村さんの場合は説明も必要ありません。
言葉には出しませんが、「これがほしいんでしょ?」「これをみんなに見せたいと思ってるんでしょ?飯田さん」ということを全て演技で表現してくださっています。しかも、中村さんの狙いとわれわれの狙いにはズレはなく、解釈に関しても完全一致なので、毎度本当にすごい人だなと感動しています。
――中村さんをはじめ、素晴らしいキャストが集結したことでドラマに大きな反響が集まっていると思います。この反響についてどうお考えですか?
ドラマが始まったばかりの時は、ドキドキしていました(笑)。テレビ朝日の木曜夜9時と言えば、数字を取る安定の枠であり、安定したサスペンスをやっている枠でもあるので、それらの作品に比べたら「ハヤブサ消防団」は異質なことをしているという自覚がありました。
池井戸さんの原作がそうであるように、ドラマ前半はかなりのんびりしたお話になっていたと思います。中盤から終わりにかけて、とんでもないお話に進んでいきます。そこまでは、田舎の風俗(=日常生活や習わし、風習など)や、自然の豊かなところの小説家の日常を原作で丁寧に描いているので、その要素をドラマでも落とさずに映像にしてきました。
なので、わりとのどかなサスペンスになっています。ドラマでは、蛍を見に行ったり、原作では「ヘボ(=地蜂の幼虫)取りに行こう」とか、勘介と太郎が虫を捕りに行ったりだとか、そういう描写がすごく多い作品です。
そういった描写はとても捨てがたく、「ハヤブサ消防団」としての味だと思っていました。その一方で、こういった描写をドラマの構成へ積極的に入れることは、すごく勇気が必要でした。
「ハヤブサ消防団」という作品でも、一応事件は起こってその事件を解決するために戦うストーリーにはなっていくのですが、1話完結で何か起きて解決する作品ではないので、いつもの連続ドラマである木曜夜9時枠に繰り広げられていたサスペンスとお客さんのカタルシスの探訪という意味では、少しチャレンジングなドラマになっています。
最初の頃は、ほぼ何も起きていなかったので、「なんも起きていないじゃん!」という人ももちろんいらっしゃいましたが、それでも「ハヤブサ消防団」を見て「いい」「面白いじゃん」と言ってくれた方もたくさんいたのでうれしかったです。ドキドキする中で、初回放送の数字がよくておじさま方もすごく喜んでいましたし、キャッキャッしていました(笑)。
――皆さん、「俺たち地味じゃないかな」と心配されていたと聞きました。
そうなんです(笑)。心配はしていましたが、いざふたを開けたら、数字がよくて、「俺たちコスパいいよね」「二桁も数字取れたし」と喜んでいました!(笑)。
撮影現場でも、おじさま方は公式SNSで上がっている様子のままです。皆さん全員が無邪気であり、近所の男友だちのように常に仲よくつるんでいます(笑)。
昔から共演されているよく見知った顔同士なので、互いに信頼感もありますし、撮影はとにかく楽しそうですし、どんと構えている余裕がありました。誰一人として、役に入り込んで悩んだりしている様子もありませんし、本当に平和な現場です(笑)。
――中村さんと消防団の皆さんによるポスターも話題になりましたよね。
あのポスターは、ゆうちゃみ(古川優奈)さんたちがやっていた消防団PRのポスターをまねさせていただいたものです。「これをまねしてください」とお願いしたら、全力で皆さんポージングしてくださいました。
元ネタのポスターを参考に誰一人恥ずかしがることなく、ノリノリでポージングしてくださいました(笑)。岡部(たかし)さんは特に真剣でポスターのポージングを見て、「こうかな」と言いながらポーズを決めていたのが印象的でした。
キャストの皆さんのおかげで力作になりましたし、視聴者の方やファンの方に話題にしていただいてうれしいです(笑)。