俳優業と執筆業は「正反対」、だからこそ「救われている」
――連載が始まってから反響はありましたか？
「エッセイ読んでいます」と声を掛けられるのはすごくうれしかったのですが、なかなかライブみたいに直接お客さんの反応を感じることはできないので、「本当に読んでくれている人がいるのかな」とか「自分のことばかり書いて、誰が喜ぶのだろうか」と思う事が多かった気がします(笑)。でもこうして書籍となり、本屋さんに並ぶことで、書くことへの実感がより強くなると思います。
――特装版には、書き下ろしのエッセイや、撮り下ろしの写真、西加奈子さんや尾崎世界観さんらとの対談も収められていますね。
はい。撮り下ろしの写真には「たゆたう」という冬感があるような写真も撮っていただきました。対談では親交のある方々とお話させていただいたのですが、それぞれ全然色が違うお話になっているので、私のいろいろな面を知っていただけると思います。
――連続テレビ小説「舞いあがれ！」への出演や、現在放送中のドラマ「ウソ婚」でヒロインを務めるなど、俳優業も充実されていますが、執筆との相乗効果は感じていますか？
お芝居は私と違う人間になり、エッセイでは自分の心と向き合う。正反対の作業だなと感じているのですが、両方あることで自分のなかでバランスが保てていると思います。お芝居では長濱ねるとまったく違う人間を演じることで、ある意味でたくさん嘘をつきます。エッセイでは自分の心と正直に向き合い、赤裸々に表現する。すごく自分を客観視できるので、救われている部分も多いです。
――9月4日で25歳のお誕生日を迎えられましたね。
この時期に本を出すことにはこだわりがありました。20歳でアイドルグループを卒業したので、25歳も何かの一区切りにしたいです。今後は、児童書も好きなので小学生やそれより小さい方々に児童書を広めていくような活動もしていけたらと思います。
取材・文＝磯部正和
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