公文「理由が知りたいな。あなた(瑞貴)がウソをつく理由です」
「面白おかしく膨らませるのはプロにお任せしまーす」と明るい口調で瑞貴は話すが、公文が「理由が知りたいな。あなたがウソをつく理由です」と返し、江田と交わした会話の内容をもとに、瑞貴が江田に未練があると推測。それを瑞貴に直接確かめようとする。
「わざと浮気して、離婚になることをあなたが望んだ」と、瑞貴の本当の気持ちをズバリ言い当てた。その言葉を聞いて、公文は本当のことを分かっていると感じた瑞貴は反論したり、茶化したりせず、真顔で公文を見つめた。
公文が「今から彼女(瑞貴)が話すことは江田くんにだけは伝えてはならない」と、すい達を見渡して釘を刺すと、瑞貴は観念した様子で、真実を語り始めた。
“子どもを持つこと”に対する考え方の違いが理由だった
瑞貴が勤めている店のオーナーは実はお飾りで、実質はその妻がオーナーとしてお店を仕切っている。“子どもは欲しくない”という瑞貴の考えを尊重した“実質のオーナー”は、江田が不倫を口実に離婚を切り出せるように“浮気現場”をでっち上げることを提案した。お飾りのオーナーである夫に、瑞貴と手を繋がせたり、食事をさせたり、ホテルの部屋に入るふりをさせたりして、興信所を雇ったていで、浮気現場を写真に収めた。その“偽装不倫”の計画で、瑞貴の希望通り、江田との離婚が成立した。
離婚の原因は“子どもを持つこと”に対する考えの違いだった。子ども好きな江田は自分たちの子どもが欲しいが、「瑞貴は子どもがいらないんだ」とすいに以前に話していた。
瑞貴は「他人の子どもならかわいくも思える。でも、自分のことは自分が一番分かる。私に子どもはいらない。無責任に産めない。親になれるタイプじゃないのよ」と告白。江田にも何度も自分の気持ちを話したが、伝わらなかった。“まだ若いからバリバリ働きたいから”“いずれは考えが変わるだろう”と思い込んでいるようで、理解してもらえないんだろうと諦めの気持ちが瑞貴の中に生じた。
公文「あなたは悪女のままです」
子どもが欲しい。子どもが欲しくない。その考えは交わることなく、関係性を続けるためにはどちらかが諦めるしかなかった。それで瑞貴は自分が“悪者”になることを決意した。
すいは「まだ好きなんでしょ? 私が彼(江田)にきちんと瑞貴の思いを…」と2人の関係を修復させようとするが、瑞貴に「彼にだけは話さないで」とお願いされてしまう。公文は「堂々巡りになってしまう。話せば『子どもはいらない』と江田くんは言い出し、(瑞貴が)無理をさせていると苦しむことになる。江田くんもいつかは後悔が頭によぎる時がある」とすいに説明し、瑞貴も「私も気づくべきだったのよ。彼の子ども好きを。本当に子どもが大好きで、いつか自分の息子とサッカーをする。それが夢なのよ。パートナーの夢を奪う愛なんて、存在するの?」と説得。すいも「うん、言わない」と約束した。
瑞貴は江田のことを嫌いになったワケではなく、浮気もしていなかった。江田を愛しているからこその決断だった。この瑞貴の告白は物語には書けない。作品になると江田も読んでしまうから。
「あなたは悪女のままです」と、物語の中のキャラクターに変化がないことを公文が伝えると、瑞貴は「悪女、上等」と答えた。その後、泣きながら1人焼肉をする瑞貴は「上等」と言いながら“これで良かったんだ”と自分に言い聞かせているかのように見えた。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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