現実を突き付けてくる展開に
美璃は朝起きてすぐに郵便物の確認をしてから、食事の準備に取り掛かることを日課にしているようだった。郵便物の中には、滞っている支払いについての知らせが複数枚存在。美璃はご飯を冷凍してストックするなど、食費を節約していたが、諦められない夢のおかげで、期日までに支払う余裕すらなかったのだろう。
そんな中、勤務先であるピアノ教室では、生徒が急にやめてしまう出来事が起こる。理由を知ろうとする美璃だったが、音楽教室の事務員・野田(馬場園梓)から、「お金の問題かもしれない」とやんわりと止められる。
その後の美璃の表情から分かるように、「お金を理由にピアノを辞める」ということを、美璃自身が誰よりもよく分かっていた。だからこそ、何も言えなくなってしまったのだろう。夢を追うためには、お金も必要であるという現実を突き付けてくる展開に胸が痛んだ。
音大時代の同期との格差に抱く劣等感
美璃が家に帰ると、郵便ポストには二枚の封筒が入っていた。一枚は奨学金の催促状、もう一枚は音大時代の同期であるまりあからのコンサートチケットだった。美璃は迷わずまりあに電話をかける。美璃はちゃんと割り切って、成功している同期のまりあを全力で応援できるタイプの人なのかと思えば決してそうではなかったと思う。
美璃は音楽教室でまりあのコンサートのポスターを見て、開催場所も知っているはずなのに、「神戸でやるんだね」と初めて知ったかのように回答。無意識だったかもしれないが、美璃がまりあに劣等感を抱いていると感じるには十分なシーンだった。
まりあは美璃の抱いている劣等感に気が付くことはないし、本気で美璃を心配しているし、音楽の世界で生きてほしいと願っている。だからこそ、仕事がうまくいかないと悩む美璃のために音楽出版社を紹介しようとしたのだ。
美璃は、そんなまりあの裏表のない優しさに、大学時代からも何度も助けられ、そのたびに劣等感を抱いてきたのだと思うと切なさが募った。
美璃は日々悩み続ける
美璃は、まりあから紹介してもらった音楽出版社に面接に行くことに。面接官と話すことで、自分の過去や自分自身ともうまく向き合えていないことを自覚する美璃。そんな美璃に追い打ちをかけるように、不採用を告げる「お祈りメール」が届き、「私って役に立たない人間なんだなって」と落ち込んでしまう。
その後、空のおかげでなんとか立て直すものの、音楽教室の生徒が二人辞めてしまったり、人生の楽しみとなっていた空が、突然、姿を消してしまったりと悲しいことが重なってしまった美璃。
X(旧Twitter)では、立て続けに美璃を襲った悲しすぎる出来事に、「来るときは一気に来るんだよね」「謎に重なる…救われたい」「お祈りメールするなら雇ってあげて」という声が上がた。
また、音楽を諦められず日々苦悩する美璃の姿に「分かる…」「現実も見ないといけない」「しんど…」と、共感するメッセージが多く寄せられている。