山田裕貴が松本潤との撮影エピソードを明かす「“やっと頼ってくれた”っていう感じですごくうれしかった」<どうする家康>
自分が本多忠勝をやることに自信が持てた
――先日番組で、「忠勝のイメージにとらわれずに演じている」とおっしゃっていましたが、山田さんが演じたかった忠勝像について教えてください。
まず僕の考えとして、人間が歴史に触れるときに“こうだったでしょ”っていう決めつけがあんまり好きじゃないんです。だって歴史なんて誰も見てないんだから、わかるわけないじゃんって。
最初の頃はやっぱり今まで演じられてきた忠勝像みたいなものがあるし、肖像画に残っている強そうなイメージがあるから、イメージと違うって意見も見受けられました。
でもそれじゃあ大河ドラマをやっている意味がなくなっちゃうっていうか、“「どうする家康」ではこうなんですよ”っていう解釈を楽しんでもらうのが大河ドラマだと思うんです。
僕が一番初めに学んだことは、クランクインする前に岡崎の武将隊の方が施設を案内してくださったんですけど、そのときに「忠勝の肖像画って本人が8回描き直させてるんですよ。だからもしかしたら、山田さんみたいにスラッとした人だったのかもしれませんね」って言ってくださって。
そのときに“もしかしたらそうだったのかも”っていう風に思えて、自分が本多忠勝をやることに自信が持てたんですよ。武将隊の方に感謝です。
うそじゃないけど、フィクションを重ね合わせてなるべく本物に見せているのがドラマだから、“僕がやりたい忠勝ってどんなのだろう?”って考えたときに、人の思いをちゃんと背負える人、柔軟で繊細で人の心を受け止められる人、殿が悲しかったら同じように悲しいし、苦しかったら同じように苦しいって寄り添える人だなって。
今までだったら武骨でまっすぐなイメージで、僕もそういう演じ方をしていますけど、内面は全然違って、「ワシが強くいなければこの殿はダメかもしれん」ていう思いで強く立っている、そんな忠勝像をイメージして演じました。
役を生きてないとそこに達することができなかった
――第1回から出演されてきましたが、その中で特に印象に残っているシーンを教えてください。
第2回の大樹寺での殿とのシーンと、第18回の叔父上(本多忠真)とのシーンです。叔父上とのシーンは波岡(一喜)さんとお互いに演技プランを提案し合って、「殴ってほしいです。それを忠勝にとって最初で最後の傷にしたいんで」と言って波岡さんにお願いしました。
そしたら「わかった。じゃあ殴るね」となり、そういうくだりを監督にも相談して増やしてもらったんですけど、その後、本番当日に波岡さんが台本にない、抱きしめるという動きを増やしてきたんです(笑)。
それによって、僕は演じていない忠勝の幼少期の思い出が目の中、頭の中にぶわぁ~って流れ込んできたのが見えて。ホントに不思議な体験というか…。それは役を生きてないとそこに達することができなかっただろうし、それこそ“忠勝さんが見せてくれたんだ”と僕は思っています。