上田晋也、内田也哉子、いとうせいこう、立岩陽一郎、鈴木沓子らが出演する「上田晋也アートスペシャル バンクシーから読み解く“分断の世界 2023”」(夜8:54-11:24、BSテレ東)が12月30日(土)に放送される。WEBザテレビジョンでは、収録を終えた上田に取材を実施。収録の感想や“表現へのこだわり”などについて話を聞いた。
「僕も考えなきゃいけないなと、反省の2時間半」
――まずは、収録を終えた率直な感想を教えてください。
改めて「バンクシーは深いな」と思いました。番組冒頭でも言っているのですが、あまり軽々しく好きとは言えない、“好き”だけでは終わらせてはいけないと勝手に思っているので。
毎回バンクシー作品に突きつけられているような感じがして、今回はそれをより深く感じましたし、僕も考えなきゃいけないなと、反省の2時間半でした。
ひょっとしたら視聴者の皆さんも…この年の瀬になんで反省させられなきゃいけないと思うかもしれませんが(笑)、大事なことですからね。
――収録を経て、バンクシーというアーティストに対しての印象の変化は感じましたか?
ある程度本を読んだり映像作品を見たりしていて、バンクシーのことをまるで知らなかったわけではないので、印象の変化はありませんでした。
ただ、鈴木さんやジャーナリストの立岩さんの意見を聞くことで、「なるほど、そういう視点もあるんだ」という、一歩奥深さみたいなものは感じましたね。
作品の中で一番好きなのは「窓にぶら下がる男の絵」
――上田さんの中で、バンクシーの作品の中で「すごい」と感じたものはありますか?
今は“花束を投げる”作品(「Love is in the Air」)がやはり一番すごいと感じますし、ウクライナに描かれた絵は、一番考えるべき作品なんだろうなと思います。
能天気に見ていいのであれば、窓にぶら下がる男の絵が一番好きですけどね。あそこまでの修羅場はなかなかないだろうけど、あれに掠っているような経験は、ある程度の男の人はあるでしょうからね(笑)。そういう意味では、能天気に「分かる分かる」となります。
――バンクシー作品というと「議論を呼ぶ」狙いがあるという話がありますが、上田さんなりの“話し合いたいけど喧嘩はしたくない”時の議論を呼ぶための方法はありますか?
議論することがそもそもないですね。
もちろん、議論することは良いと思います。紛争や火薬に頼らなければね。議論してもいいけれど、自分の意見や哲学が必ずしも正しいわけではなく、相手の意見も受け入れましょうね、と教える教育を今後してくれないかなと思っています。