コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、『ラブ・バレット』(KADOKAWA)からJKキューピッドが、どう転んでも辛い三角関係が発生してしまった幼なじみ3人組の恋愛に決着をつける『キューピッドによる三角関係解消法』をピックアップ。
作者のinee(アイニ-)さんが11月17日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ反響を呼び、9000件を超える「いいね」が寄せられ話題を集めている。この記事では、作者・ineeさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
仲良し幼なじみの三角関係…引き合わせ役のキューピッドたちが出した決断とは
恋心が芽生える前に亡くなってしまった子たちは皮肉にも恵まれているとも言える。慈悲深き愛の女神に我が子のように迎え入れられキューピッドとして蘇る。キューピッドは自由に下界を出入りできるが代償に成長も恋に落ちることもなくなる。従来のキューピッドは弓を使い、相性のいい人を引き合わせ徳を積み上げ第二の生を授けられた。
あるファーストフード店で幼なじみの陽菜(ひな)、大翔(だいと)、葵(あおい)の3人が集まっていた。そこに4人のキューピッドがどちらを陽菜とくっつけるか議論しており、今日はその決行日だ。以前の担当キューピッドによる過失で大翔と葵がどちらも陽菜を見つめているとき、それぞれ別のキューピッドに撃たれ、面倒くさい三角関係が完成してしまった。今回の任務は陽菜にもっとも適性の高い恋愛相手を決定すること。大翔派のチヨとカンナ、葵派のエナとそれぞれが意見を出し合う中、キューピッドになりたてのコハルはどちらがふさわしいかわからず意見を出せないでいた。
そのとき、陽菜たちのレシート番号556番が呼ばれた。注文は揃っているのに、不思議だが陽菜が行ってみることに。すると店員から、陽菜が落としていた3人の小さいころの写真を渡された。「昔からとっても仲がよかったんですね」と言われ、「かけがえのないふたりで…大翔と葵とはこれからもずっと一緒にいられたらな…」と話す陽菜。あまりにもハートフルな様子にますます選べなくなるコハルだった。
コハルがキューピッドたちの元に戻ると装備の準備をしていた。今のキューピッドは銃で2人を引き合わせる。チヨが「ゴチャゴチャ言い合ってもなんだ、決着は弾丸で決める…!」と言い始めた。どうにか穏便に済ませたいコハルだが、好戦的なチヨの妨害を排除しつつ任務を遂行するのは対キューピッド戦の訓練になるとエナに説かれる。大翔組のカンナ&チヨと葵組のエナ&コハルの戦いが始まった。激戦の末、大翔組が勝利を収めそうになるが、「いっそコハルちゃんに任せてみよう」というカンナの一声でコハルだけ残る結果になった。3人の仲良しそうな姿、どっちを選んでも陽菜が大切な人を失ってしまう状況、陽菜の2人への想い…コハルが出した答えとは…!
幼なじみたちの恋愛を巡ったJKキューピッドたちのバトルの展開に「バトルアクションもラブコメも楽しめるとか最高」「展開と空気が最高」と話題に。「JKキューピッドたちのデザインも絵柄も設定も展開も好き~」「この絵良すぎる」「絵がすごく好き…」と可愛らしい絵も大好評だ。
幼なじみ、JKキューピッド、ガンアクションとハラハラドキドキを詰め込んだストーリーが話題 作者・ineeさんに創作の裏側を語ってもらった
――「ラブ・バレット」の創作のきっかけをお教えください。
最初はVtuberのアバターデザインをしてクリエイターさんに提案できたらいいなと考えていて、その中で 弓矢の代わりに銃を使うキューピッドだったらアバターとして面白いのでは、と思いついたところから始まりました。そのときは白を基調に赤をアクセントにしたデザインだと目を引くのではと漠然と考えていました。結局Vtuberにアバターデザインを提案しませんでしたが、マンガを描くことを仕事にしてみようと思ったときに、自分がためていたストーリーやキャラクターのアイデアフォルダを見て、銃を使う「イマドキ」キューピッドをストーリーにしたらすごく面白いんじゃないかと思ったんです。
もともとは読み切りの作品として構想していたので、連載として提案する機会をいただいたときは、キューピッドのおかげで愛が成立する世界とはどういうものなのかをさらに自問自答するようになり、今ある「ラブ・バレット」が出来上がりました。
――本作に登場する、キューピッドへのこだわりと、大翔、葵、陽菜その他人間のキャラクターへのこだわりがございましたら、お教えください。
この種の物語は登場するキャラクターが多く、特に「人間」についてはひとつの話(第0話)のなかでしか登場しないので、その人物の言動やしぐさのひとつひとつに、できるだけ個性が出るように意識しました。
キューピッドに関しては、服装や武器、戦い方などから個性が伺えるようにしました。なので、描きたいキューピッドの性格が決まったら、あとはその個性の印象を強められるような服装や武器などを選んで描いていきました。
――本作では、キューピッドの世界と人間の世界がわかりやすく描写されておりますが、何か意識したことはございますでしょうか。
どのページを開いても、どれがキューピッドで、どれが人間なのかが一目瞭然で分かるようにするにはどうすればいいのかということを構想の最初の段階からとても考えていました。この作品では全体的に、人間は黒であったり濃い灰色で構成されているのに対し、キューピッドはほとんどが白に薄い灰色が混じっている感じです。マンガやアニメでは、明るい髪やカラフルな髪を持つキャラクターが多いですが、一目見て人間とキューピッドの違いが分かるようにするために、意図的に人間は全て黒髪にして、明るい髪色や染めた髪色の人物は描かないようにしてきました。
見た目以外の部分でいうと、人間とキューピッドの倫理観や文化の違いが分かるようにしています。作品の舞台は日本ですが、物語が進んでいくなかでキューピッドたちが人間と比べてどのように行動していくのかを見ていくと、キューピッドに対して一種の「カルチャーショック」を受けるかもしれません。
――特に気に入っているセリフやシーン、展開がございましたらお教えください。
第0話では、チヨとコハルの戦いのシーンが個人的には気に入っています。チヨは血に飢えた好戦的な性格にもかかわらず、戦いながらもコハルの技量を試しているように見えます。コハルに対して優位に立つと蹴飛ばすチヨですが、同等の技量を持つと考えているエナには躊躇なく銃で倒しにかかろうとします。先輩キューピッドたちのそれぞれのやり方でコハルを溺愛している様子が垣間見れるように描いていくのがとても楽しかったですね。
第1話では、秋が人間だった頃の心陽(コハル)に対して、人のために時間を使いすぎだと叱ったときに、秋の言葉の裏に隠れた本当の感情を汲み取った心陽が「ここ最近ふたりでいること少なくなっちゃったよね」と返すシーンがあります。実はこのセリフは物語の最初の企画段階からずっと頭の中にありました。「人の心を汲み取り、そして優しさを持って人に接することができる」私が主人公に備わっていて欲しいと思っていたそんな性格を表したセリフだと思います。
――今後の展望・目標をお教えください。
まず最初の目標は自分のマンガを連載することだったのですが、次の目標としては単行本の発売、そしてその次が複数巻に渡っての単行本を出し続けることです。これらはすべて、「自身の頭に思い描いているストーリーを余すところなく読者の皆様に伝える」というゴールに向かうための目標になっています。
――最後に、読者やフォロワーさんの方へメッセージをお願いします。
これが私のデビュー作ですので、この作品を読んでくださる読者やフォロワーの皆様には本当にとても感謝しています。この先長く物語を描き続けることができるかは、もちろん単行本の売り上げが最も大きな影響を与えることになると思いますが、SNS上での広がりやお友達への紹介でも影響が大きく変わってきます!これからも本作に対して情熱を持って一生懸命描き続けますので、どうぞ応援よろしくお願いします!